家電口論

2017年1月2日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

スマート家電グランプリ審査員。主催する『生活家電.com』を通じ、家電の新製品情報、使いこなし情報他を発信中。過去、某メーカーでAVメディアの商品企画を担当、オーディオ、光ディスクにも精通。また米・食味鑑定士の資格を有する。水、米、パン、珈琲、お茶の味に厳しい。

「エネルギーなら東電」といえる実力、『電力センサー』

 今回、いくつかの面白い技術が投入されているが、その中の一つに、東電PGの電力センサー技術がある。どんな技術かというと、それぞれの家電の消費電力量を推定する技術だ。東電PGが現在持っている技術に『スマートメーター』がある。これは家庭の総消費電力量をほぼリアルに知ることができる。しかし、そのデータを見ても、エアコンの設定温度を下げるべきなのか、それとも冷蔵庫が古すぎて、電力をムダに使っているのかなどはわからない。

実証実験発表会で提示された東電の電力センサー。 形は違うが、双方とも同じ性能だそうだ。

 このためHEMSが考案された。主な家電に電力チェッカーを付け、そのデータを集積、家庭内の消費電力の内訳を出すというモノであった。お分かりの通り、これはスマートメーターは全く関与しなくてもできるため、東電PGとHEMSは関係なく、パナソニックを含む家電メーカーの話になる。しかし、主な家電と言っても、それが家庭内で全部同一メーカー1社というのはごく稀。他社メーカーからのデータだと完全保証することもできないし、使われる期間が長い白物家電では、データを読み取ることができない昔の製品が使われていたりする。このためHEMSは「節電」に対し、かなり高い負担をユーザーに強いることになる。特に費用がばかにならない。回収するのに10年近く掛かる。

 今回のキー技術の一つは電力センサーだ。これは各家電の使用電気量を推定するモノだ。当然、正確無比とは行かないし、小さい家電も含め、全てというわけには行かない。一般家庭で言うと、照明、エアコン、冷蔵庫、TV、乾燥機など。1500Wとか高い電力を使うドライヤーなどは、実は長く使っても20分位なので、それほど問題にはならない。重要なのは、長い時間使う家電だ。これらは、大きく独特な電流値を示す。例えば、冷蔵庫の中のコンプレッサー。これは独特の波形を描く。エアコンのモーターも同様。メーカー名、型番までは正確ではないが、エアコンなのか、冷蔵庫なのかは間違いなく出せる。家電の電流値を分析して、消費電力の大きな家電を特定。その家電に指示を出し、節電に持っていくことができるわけだ。

 この技術が実用化されると、今まで全ての家電にセンサーを取り付け、通信を確立させなければとされてきたHEMSが一挙に別物になる。家電は今の状態でイイ。そして、付けるのは電力センサーだけ。劇的にHEMSの値段が下がる。その上、今までは家庭内システムであったのが、配電盤一カ所に取り付ければいいとなると、東電PGが単独でHEMS事業、言い換えると「節電サービス」に乗り出すことも可能だ。

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