海野素央のアイ・ラブ・USA

2017年1月20日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

 今回のテーマは「利益相反とトランプインターナショナルホテル」です。2017年1月20日(現地時間)に共和党ドナルド・トランプ氏は第45代米大統領に就任します。ところが早くもトランプ氏の大統領職務とビジネスの利益相反の可能性が出ています。本稿ではワシントンで下院外交員会に所属するジェリー・コノリー氏(民主党・バージニア州)を対象としたインタビューを交えながら、この問題について考えてみます。

就任式とトランプインターナショナルホテル

トランプインターナショナルホテルの入り口
 

 まず、連邦議会、ホワイトハウス及びトランプインターナショナルホテルの位置関係を説明しましょう。就任式後、トランプ氏は連邦議会から妻のメラニア夫人とともに車でペンシルべニア通りを走ってホワイトハウスに向かいます。議会からホワイトハウスまでの距離は1.6マイル(約2.6キロ)です。途中、トランプインターナショナルホテルの前を通過します。ホテルからホワイトハウスまでは徒歩で約13分足です。

 

 

 『トランプが踏んだジェンダー地雷』で説明しましたように、トランプインターナショナルホテルは当初2018年までに建物を完成する予定でしたが、トランプ氏は前倒しして16年米大統領選挙の投開票日前にオープンさせたのです。就任式当日、トランプ氏とファーストレディーのメラニア夫人がホテルの前で車から降りて、沿道の支持者の声援に答えるというパフォーマンスを演じるかもしれません。

 2016年12月大統領選挙結果の検証のためにワシントンを訪問したとき、トランプインターナショナルホテルにあるゆったりとくつろげるソファに座りお茶をしました。筆者の興味で恐縮ですが、ホットチョコレートが9ドル(約1050円)、アイスティーが7ドル(約817円)、日本茶が6ドル(約700円)です。宿泊者のために、トランプインターナショナルホテル周辺でのジョギングマップとトランプ・オーガニゼーションのロゴ入りのペットボトルに入った水(通称“トランプ・ウォーター”)が用意されていました。因みに、ジョギングコースは1.5マイル(約2.5キロ)、3.1マイル(約5キロ)及び2マイル(約10キロ)の3コースに分かれています。

 ホテルの受付のスタッフは、就任式前後は全室満室であると語っていました。同スタッフによれば、普段は1泊500~600ドル(約5万8350~7万20円)の低価格の部屋が就任式の期間は約3倍に値上がりし、しかもどの価格帯の部屋も最低5日間予約をする必要があります。トランプ次期大統領の熱狂的な支持者である白人の労働者階級にはとても手の届かない値段です。トランプインターナショナルホテルは、主としてトランプ新政権に入閣する億万長者ないしエスタブリッメント(既存の支配層)が宿泊できるホテルなのです。

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