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2017年1月17日

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20日に行われるドナルド・トランプ氏の米大統領就任式について、ボイコットを表明した民主党上下両院議員の人数が26人に増えた。その多くは、就任式欠席を表明したジョン・ルイス下院議員をトランプ氏がツイートで攻撃したことへの抗議を理由に挙げている。ルイス議員は1960年代の公民権運動の闘士で、米国では大勢から英雄とみなされている。

マーティン・ルーサー・キング牧師の生誕記念日(今年は16日)の直前に、キング牧師と共に闘ったルイス議員をトランプ氏が攻撃したことで、複数の民主党議員が強く反発。イベット・クラーク下院議員(ニューヨーク州選出)は、「ジョン・ルイス下院議員への侮辱は、アメリカへの侮辱だ」と反発した。

テッド・リュウ下院議員(カリフォルニア州選出)は、「私個人にとって、就任式に出席しないという判断は、簡単なものだ。自分はドナルド・トランプの側に立つのか、ジョン・ルイスの側に立つのか。僕はジョン・ルイスの側に立つ」と書いた。

ルイス・グティーレス下院議員(イリノイ州選出)は、昨年12月の時点ですでに連邦議員で初めて就任式ボイコットを表明していた。

「あの候補がこれまで、女性やラティーノ(中南米系)や黒人やムスリム(イスラム教徒)について言ってきたこと、あらゆる演説やツイートで言ってきたことが何もかも、もう無問題なんだとか、それはもう私たちの集合的記憶から消去したんだとか、そんなふりをして、自分が就任式に出席しようものなら、私は自分の妻や娘たちや孫と、目を合わせることができない」と、グティーレス議員は下院で、欠席理由を説明している。

議員は代わりに、21日にワシントンで行われる「女性大行進」に参加する方針という。

ルイス議員(民主党、ジョージア州選出)は13日、NBCの番組でトランプ氏について、「当選させるためロシアが協力したと思う」、「(ロシアが)ヒラリー・クリントン候補の勝利を妨害した」と発言。自分はトランプ氏を正当な大統領として認めないので、20日の就任式は欠席すると表明した

これに対してトランプ氏は14日、ルイス議員を攻撃するツイートを連投。「ジョン・ルイス下院議員は、選挙結果についてでたらめに文句を言うよりも、(犯罪まみれというだけでなく)ひどい状態でボロボロな自分の選挙区を立て直して助けるために、もっと時間を使うべきだ。口先でしゃべりまくってるだけで、なんの行動も結果もない。残念だね!」などと書いた。

公民権運動で闘い、黒人隔離政策に抵抗してたびたび警察に暴力を振るわれ、繰り返し逮捕されたルイス議員は、キング牧師たちと共に1963年8月28日のワシントン大行進に参加。リンカーン記念碑からキング牧師が歴史的な「私には夢がある」演説をする直前に、ルイス氏も演説した。あの日の登壇者で今も存命なのは、ルイス議員のみ。

ルイス氏は、黒人市民の有権者登録を呼びかけた1965年3月の平和的行進を警察が力で制圧しようとした、いわゆるアラバマ州セルマの「血の日曜日」に行進を先導し、警官に頭を殴られ頭蓋骨にひびが入る被害を受けている。

昨年7月には、フロリダ州オーランドのナイトクラブで乱射事件が起きたのを受け、銃規制法案の採決を求め、下院本会議場で座り込みの抗議を強行した。共和党は座り込みを阻止しようと、その日の議事予定を早々に打ち切り、テレビ中継用のカメラの電源を切った。しかし、民主党議員たちが携帯電話で撮影する動画を、政治ニュース・議会中継専門のテレビ局「C-Span」が生中継した。

ルイス議員の座り込み抗議に真っ先に賛同したひとり、マサチューセッツ州選出のキャサリン・クラーク下院議員も今月初め、トランプ氏の就任式には欠席すると発表した。

「私の選挙区の人たちは、トランプ選挙運動を突き動かした反女性で反移民で反ムスリムで、この国を分断する数々の公約が、すべてのアメリカ人の健康と安全に影響する政策に転化するのではないかと恐れている」、「就任式に参加し、大統領候補の対立的な言動の正常化に寄与することは、私にはできないと感じている」と、クラーク議員は声明で述べた。

一方で、キング牧師の息子、マーティン・ルーサー・キング3世は、ニューヨークでトランプ氏と会談した後、「とても建設的な」やりとりだったと記者団に話し、双方が感情的になると「お互いに色々なことを口にするものだ」と述べた。

しかしこれに対して牧師の娘、バーニース・キングさんは、ルイス議員の選挙区でもあるジョージア州アトランタの教会で、「神はトランプに打ち勝つ」と述べた。

また、トランプ氏がツイッターでルイス議員を攻撃した後に、ルイス議員の回顧録が米アマゾンの書籍売上1位となり、たちまち売り切れた。

大統領就任式には超一流の歌手が出演するのが慣例だが、トランプ氏の就任式には出演を断る人が相次いでいる。いったん出演すると発表した歌手やバンドの辞退も続いている。

これまでに出演が決まっているのは、人気オーディション番組の16歳出演者や、軍楽隊、ラインダンスで有名なニューヨークの「レイディオ・シティ・ロケッツ」など。ただし、ロケッツのメンバーの一部は、出演を拒否している。

歌手トビー・キースさんなど、カントリー音楽のスターたちが就任式前夜のコンサートで演奏することになっている。

(英語記事 Trump-Lewis row: Democrat inauguration boycott grows

提供元:http://www.bbc.com/japanese/38646508

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