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2017年1月18日

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テリーザ・メイ英首相は17日、欧州連合(EU)からの離脱に向けた交渉での方針を説明する演説を行い、単一市場からの脱退を表明した。メイ首相はまた、関税同盟への完全な加盟は、EU域外との貿易協定の壁になるとして否定しつつ、部分的な参加で新たな合意を目指すと述べた。実際のところそれは可能なのか、検証した。

主張: 英国は、他国との貿易協定を交渉すると同時に、EU関税同盟参加による利便の一部を得られるよう、新合意に向けて交渉できる。

検証の結果: トルコには関税同盟への一部参加が認められており、可能だ。しかし、その参加条件はトルコにとって有利ではない。メイ首相は既存合意と同じ取り決めは、望んでいないと述べた。EU域外の国に対してEUと同じ関税を課す用意がなければ、英政府が交渉で達成できることは限られている。


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メイ首相は、「関税をめぐる完全に新しい合意が必要なのか、何らかの形での関税同盟への準参加になるのか、部分的に署名国であり続けるのか、予断は持っていない」と述べた。

EUの関税同盟は、加盟国の商品には関税(輸入品に対する税金)を課さず、非加盟国からの輸入品に対して同一の関税を課すという貿易協定だ。

そのため、いったん税関を通って域内に入った商品については、国境をまたがってもあらためて税関審査を受ける必要はなく、自由に移動させられる。

メイ首相は、関税同盟に含まれる2つの部分について受け入れられないと述べた。

一つは、域外への同一関税。他国との自由貿易協定の障害になるためだ。もう一つは、統一的な商業政策。これはEUの貿易に関する基本方針を定めた条約の一部だ。EUの基本方針は、関税に関する決定権や貿易協定の交渉権は、各国ではなくEUにあると定めている。

現在の関税同盟には、EUに加盟する28カ国と北アフリカのモロッコが参加している。

EUはこのほか、トルコ、アンドラ、サンマリノとも個別に関税同盟の取り決めがある。

トルコとの協定では、工業製品や農産物の加工品が対象だ。このためトルコはEU域外の国にEUと同一の関税を課さなくてはならず、工業製品に関するEU規制にも従わなくてはならない。一方で加工されていない農産物は対象外。

トルコが他国と貿易協定を交渉する際には、工業製品や加工農産物の関税はEUの域外関税と同じにする必要がある(ただし、対象国がEUと貿易協定がある場合には必要ない)。

EU域外の国がEUと自由貿易協定を結べば、トルコ市場へのアクセスも認められる。しかしトルコはその国に同様のアクセスはできないという、一方的な内容になっている。

協定に含まれる品目については、トルコもEU規制に従う必要がある。

英企業にとって、すでに従っているEU規制が現在、問題にならないのは当然だ。しかしトルコのような合意では、今後の規制変更に意見できない一方で、規制順守が要求されることになる。

英国は、既存協定のと同じ内容の協定は望まないと強調してきた。その英国が、他国との貿易協定を妨げない形で、一部の産業が関税同盟にアクセスできるような協定を、EUとまとめられるのだろうか。

メイ首相は、英・EU貿易を「可能な限り摩擦のない」ものにしたいと述べた。しかしどのような利便を持ち続けたいのかは明確にしなかった。

しかし、EU域外への関税についてEUの取り決めに従わないまま、英国が交渉から得られるものには限界がある。関税がかからない裏口からのEU市場へのアクセスを、他国に提供することになるからだ。



(英語記事 Reality Check: How could customs union deal work?

提供元:http://www.bbc.com/japanese/38660275

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