2024年4月25日(木)

古希バックパッカー海外放浪記

2017年2月12日

 お笑い芸人に任せているように見える部分もあるが、お笑い芸人が自由に好き勝手にやっているように計算してお膳立てをしてゆくのが一流の演出家(ディレクター)の技能であり力量という。Gさんの言葉には予算カット、人員カットという不条理な外部環境なぞ歯牙にもかけず「本当に面白いものを作る」という不屈のプロ根性が滲み出ていた。

 「よく人から言われます。『Gさん、あんたおかしいよ。まともじゃないよ。』って呆れられちゃうんですよ。でも治せないんですよ。」とGさんは苦笑いした。

「マンダレーの丘」の中腹に建立された慰霊碑英霊の供養のみならず徴発された現地労務者の犠牲にも思いをはせる

ラジオ局を辞めて世界一周中のOちゃん

 2016年8月 インドの最北端レーのゲストハウスで一緒になったOちゃんは仕事を辞めて世界一周旅行中の27歳。大学卒業後、5年ほど東京のキー局のラジオ局で番組のADをやったり構成作家をやったりしてラジオ番組に関わってきた。

マンダレー西郊の河畔ホテルのテラスではサンセット・フリー・ドリンクのサービスあり。(当日はウィスキー・サワーが只で飲み放題であった)

 もともと文章を書いたり音楽を聴いたりするのが好きでラジオの世界に憧れてラジオ局に入社。しかし、ラジオもネットに押されて広告収入減少、さらには若年人口の減少や若者のラジオ離れが進んでラジオ局の経営も先が見えない。

マンダレー郊外の河畔のガーデンにてご当地ビール『ダゴン』、至福の時間が流れる

 NHK『ラジオ深夜便』は時代を先取りして熟年層・高齢者層を取り込んで成功したが、他方で民放各局は視聴率維持のために実績のあるアナウンサー、キャスター、タレントを使い続けることになってしまった。それらの実績のある熟年出演者の番組スタッフも昔から一緒にやってきた同じく熟年のディレクター、構成作家が長年固定したチームである。

 企画会議では斬新な若手を起用する番組企画は殆ど採用されず旧態依然とした番組編成を見ていると希望が持てなくなったという。Oちゃんの話を聞いていて確かに朝6時前後のラジオ番組は生島ひろし、森本毅郎、高島秀武など錚々たるメンバーがメインを張っていると思い出した。

マンダレー市内の寺院のウルトラマン的な大仏。奇抜な仏様が仰山並んでおりテーマパーク的景観。

 OちゃんはNHKと民放FMの二つの全国ネット番組で世界一周旅行の旅先から毎週現地から電話回線を通じて生レポートをしている。自分の旅を発信することで自分の表現力、発信力を磨いていきたいという。他方、旅先で世界各地のラジオ放送を聞くことで新しいラジオの可能性を探ってみたいという。将来Oちゃんの画期的新企画が電波に流れることを期待したい。

 ⇒第6回に続く

  
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