赤坂英一の野球丸

2017年1月25日

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抜け目なく補強した

 しかし、それではなぜ95年と97年のヤクルトは巨人に勝つことができたのか。実は、ヤクルトのほうも巨人に負けじと、しっかり抜け目なく補強していたからなのだ。

 95年は新外国人テリー・ブロスがエースとなり、14勝(5敗)を挙げ、最優秀防御率(2・33)のタイトルを獲るほどの安定感を誇った。シーズン終盤の9月には巨人戦でノーヒットノーランを達成し、巨人に引導を渡している。シーズン途中には前近鉄の吉井理人を交換トレードで獲得して、こちらも10勝をマーク。打線では前阪神のトーマス・オマリーが不動の4番に座り、自己ベストの31本塁打をはじめ打率3割2厘、87打点を記録。前ロッテのヘンスリー・ミューレンも29本塁打、80打点と勝負強さを発揮した。

 97年の最大の補強戦力は前広島の小早川毅彦だった。巨人との開幕戦で、「不沈艦」と呼ばれた平成の大エース・斎藤雅樹から3打席連続本塁打。自信を失った斎藤はこの年、6勝8敗と4年ぶりの負け越しと一桁勝利に終わり、大エースから一転、惨敗巨人の象徴的存在となった。また、オマリーに代わる新外国人ドゥエイン・ホージーも中軸に定着、38ホーマーで本塁打王となっている。この年の優勝もまた〝補強の勝利〟だったのだ。

 昨年の広島にしても、MVPの新井貴浩や「神ってる」鈴木誠也らの活躍ばかりで25年ぶりに優勝できたわけではない。セ・リーグ2位の37ホールドを挙げたジェイ・ジャクソン、19ホールドのブレイディン・ヘーゲンズと、中継ぎとして働いた新外国人投手2人の貢献度が大きかった。一昨年のヤクルトも、苦しい夏場に先発ローテーションの谷間を埋めた前ソフトバンクの新垣渚、山中浩史の粘投が14年ぶりの優勝につながっている。

 巨人ばかりが批判されているが、他球団は昨年足りなかった戦力をきちんと補充できているのか。補強の成否を問われているのは、巨人だけではない。

  
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