前向きに読み解く経済の裏側

2017年2月6日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 粉飾決算をする会社が後を絶ちません。なぜでしょうか? ワンマン社長が自身の名誉のためだけに部下に粉飾を命じているケースなどは、わかりやすいですが、本稿ではそれ以外の、皆が会社のためを思って粉飾しているケースについて、なぜ粉飾決算が減らないのかを考えることとしましょう。

 ちなみに粉飾をする当事者の意識としては「銀行が融資を続けてくれれば、遠からず黒字を回復するはずだ。しかし、赤字決算を見せれば銀行が融資をストップするだろう。我が社が生き残るためには粉飾決算しかない」といった所でしょう。

(iStock)
 

犯罪は、バレなければ罪にならない

 当然ですが、どんな犯罪でもバレなければ罪になりません。そして、粉飾決算はバレにくいのです。「黒字が回復するまで銀行を騙しておければ良い」ということならば、難しいことではありません。今後も実質赤字が続き、再起の見込みが無い会社の粉飾は、いつかバレるでしょうが、黒字が回復すると信じている粉飾担当者にとっては、それは気にならないのです。

 会社を守るためですから、経理部門の社員と役員が一丸となって秘密を守ろうとするでしょう。日本企業は従業員の共同体ですから、正義感で粉飾を告発しようという人は少ないでしょう。「裏切り者」と言われ続けて生きて行くよりは、組織防衛のための粉飾に手を貸す方がマシだ、と考える人が多いはずです。

 銀行は、粉飾決算を見抜こうとしますが、個々の伝票までチェックするわけではないので、なかなか見抜くことは困難です。もちろん、銀行員は粉飾を見抜くノウハウを持っていて、訓練もされていますから、初歩的な粉飾は見抜かれてしまう可能性も高いでしょうが、チョッと手の込んだ粉飾をすれば、そうは簡単に見抜かれないでしょう。

 税務署の査察がはいれば、粉飾決算がバレる可能性はありますが、税務署は「利益を小さく見せている企業」を探しているので、「利益を大きく見せている企業」には興味を持たず、査察にも来ないでしょう。

 会計監査法人は、粉飾を見抜く可能性がありますが、緩い監査法人を使えば、そうした心配は小さいでしょう。問題は、緩い監査法人が存在するのか否か、ということですが、心配ないでしょう。監査法人が緩い監査をしたとして、粉飾を見逃したとします。バレなければ問題ありませんし、万が一バレたとしても、「見落としていた。申し訳ない」と謝れば良いのです。

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