イノベーションの風を読む

2017年2月2日

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川手恭輔 (かわて・きょうすけ)

コンセプトデザイン・サイエンティスト

1990年代から、大手メーカーでインターネットサービスの企画・開発・運用を手がけ、自ら立案したグローバルなサービスを複数立ち上げた経験を持つ。その1つは、サービスのデザインでグッドデザイン賞を受賞した。コンピューターサイエンス関連の翻訳本も多数ある。

Siriはイノベーションのシーズ

 アマゾンとグーグルとアップルのビジネスモデルの違いによって、それぞれの音声アシスタントが果たす事業的な意義が大きく異なる。

 アマゾンは、Alexaと連動可能なハードウェアを開発するための開発環境もサードパーティーに提供しているが課金はしない。Alexaのスキルや、連動するハードウェアを増やすことによって、アマゾンのEコマースを利用する顧客を獲得し維持することが狙いだろう。

 グーグルは、Echoのようなスマートスピーカーや、SiriのようにGoogle Assistantを利用できる自社ブランドのスマートフォンを発売している。検索エンジン広告ビジネス一辺倒からの脱却を目指していると言われているものの、「その他の投資」に分類されるグーグルの本業以外の売り上げは1%にも満たない。Google Assistantの事業的な戦略は、まだ見えてこない。

 アップルのビジネスは、ハードウェアの販売が基本だろう。サービスからの収益が相対的に増えてはいるが、成長に陰りが見え始めたiPhoneの次のハードウェアを「発明」することが急務だろう。それにはアップルウォッチのようなiPhoneのアクセサリーではなく、人々がiPhoneに替えて手にするものを創ることも考える必要がある。Siriはそのシーズとなるはずだ。

 iPhoneがなくてもインターネットに接続してSiriと会話できるAirPodsは、ハンズフリーでビュー(視線)フリーの新しいコンピューティング体験を提供するチャレンジになる。AirPodsの充電ケースに補助的なディスプレイとモバイル通信(SIM)を組み込むことなどは、アップルにとってきっと簡単なことだが、iPhoneの成功を自ら破壊するイノベーションを起こすことは容易でないかもしれない。

  
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