ネット炎上のかけらを拾いに

2017年2月1日

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 『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』(メタモル出版)の中で、精神科医の松本俊彦氏は大葉ナナコ氏の主宰する誕生学を批判している。妊娠や育児を「メルヘンチックな言葉で飾り立てて、ロマンチックで感動的な物語として」語る誕生学。その目的は、子どもの自己肯定感や親への感謝を高めることだというが、松本氏は「すべての子どもが、美辞麗句で飾り立てられたおとぎ話の中に自分の姿を見出せるわけではないことをよく理解しておく必要があります」と書く。

 繰り返しになるが、マタニティヌードを撮るのは、妊婦の自由である。ただ、妊婦が妊婦のために撮影するものについて、わざわざ「反抗期の子どもにも効果的」などと、子どもの気持ちを持ち出すのは意味が分からない。あまりにもこじつけであり、さらにそのこじつけが大人の都合を前提に語られている。ただ単に妊婦がやりたければやればいい。それだけのものを、生命の神秘だか何か知らないがもっともらしい言葉と子どもの反抗期を持ち出して、大変な意味のあることのように説明する。

 言い方を変えればまず最初に美辞麗句があり、そこに「これは子どものためにもなる」というもっともらしい言い分が付け加えられる。いったいこれは誰のため、何のための「学」なのだろう。

 筆者は大葉ナナコ氏が、講演会の会場で話すのを聞いたことがある。話の内容はあまり覚えていないが、ネット上で疑問を持たれていることを盛んに気にしている様子だったことは記憶にある。その講演会はある政党の関係者が多かった。政治に関わる人にはぜひ、うわべだけのロマンチックな言葉に惑わされないようにしてほしいものだと思っている。

  
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