BBC News

2017年2月2日

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英下院は1日、欧州連合(EU)に離脱を通知する権限を政府に与える法案を賛成多数で可決した。

法案は、野党・労働党指導部の支持も得て、賛成498票、反対114票で承認された。

一方で、スコットランド国民党(SNP)、ウェールズの地域政党「プライド・カムリ」、自由民主党の3党が反対したほか、労働党議員47人や与党・保守党のケン・クラーク元財務相も、それぞれの党の方針に従わず、反対票を投じた。

上下院はさらに法案の詳細について審議を行う。下院では来週から審議が行われる。昨年6月に実施された国民投票では、賛成51.9%、反対48.1%と、離脱が支持された。

テリーザ・メイ首相は、離脱の正式な通告に必要なEU基本条約(リスボン条約)50条を、今年3月末までに発動させると表明している。

第一段階となる今回の採決に向け、下院は2日間にわたって審議を行った。

国民投票時に離脱支持を訴えたボリス・ジョンソン外相は今回の法案可決について、「極めて重大」だと評価。フェイスブックを通じてコメントした同外相は、「EU条約からは離れるかもしれないが、欧州から離れるわけではない」と述べた。

ジョンソン外相はさらに、英国が「新しいアイデンティティーを作り上げ」、欧州に「素晴らしく前向きな貢献をする」と書いた。

労働党のジェレミー・コービン党首は最も厳しい形の党議拘束で所属議員の造反を抑え、法案に賛成するよう求めた。

影の内閣の一員だったレイチェル・マスケル、ドーン・バトラー両氏は採決の直前にそれぞれ、影の内閣から辞任。コービン党首に抵抗する姿勢を見せた。このほか、影の内閣からは13人が造反の反対票を投じた。

コービン党首は、「労働党議員は3対1以上の比率で50条の発動に賛成した。今後1週間の闘いは、雇用、生活水準、説明責任を中心に据えたブレグジット交渉にすることだ」と語った。

同党首は、「労働党が求める修正条項を入れるのが本当の目的だ。英国にとって最良の条件を確実にするのが、全ての党の議員にとっての課題であり、テリーザ・メイ(首相)が英国をタックスヘイブン(租税回避地)の特売場にする余地を与えないことだ」と述べた。

下院で法案の採決結果が発表された際には、「自殺行為だ」と叫ぶ議員の声が聞かれた。

「詳しい質問」

自由民主党は所属議員9人のうち7人が反対票を投じた。ティム・ファロン党首は、「トーリー(保守党)と労働党はハードブレグジット(強硬なEU離脱)を支持したことで、将来世代の利益を損なった」と語った。「労働党指導部は今夜、白旗を上げた。彼らは野党ではない。チアリーダーだ」。

下院では来週、法案審議を開始し、政府の計画に加える修正について議論する。

議会でSNPの外交問題の広報を担当するアレックス・サモンド氏は、「来週は詳しい質問がされるだろう。政府がどのように修正に対応するかによって、その能力が問われることになる」と述べた。

議会でプライド・カムリ党を率いるハウル・ウィリアムズ氏は、労働党の姿勢を批判し、「非常に残念」だとした上で、「採決では、国民投票の結果を受け入れるのかが問われたのではない。トーリーによる極端なブレグジットのやり方が問われていた」と語った。

保守党で唯一反対票を投じたクラーク元財務相は、法案可決について「歴史的」としながらも、「実際の」EUとの交渉が始まれば、「雰囲気は変わるかもしれない」と指摘した。

下院での採決に先立ち、SNPが出した法案の廃案動議は否決された。

今回の法案は先週、最高裁判所が50条の発動には議会の承認が必要との判断を下したことを受けて公表された。

EUとの離脱交渉の期間は最長2年間とされており、現在28カ国が加盟するEUから英国が離脱するのは2019年になるとみられている。

(英語記事 Brexit: MPs overwhelmingly back Article 50 bill

提供元:http://www.bbc.com/japanese/38837112

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