BBC News

2017年2月6日

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ドナルド・トランプ米大統領の上級顧問でトランプ政権の「顔」のひとりとなっているケリーアン・コンウェイ氏は3日夜放送の米MSNBCとのインタビューで、実際には起きていない架空の「虐殺」を取り上げて、それを「伝えなかった」マスコミを批判した。ツイッターなどソーシャルメディアでは広くこの発言がからかわれ、後にコンウェイ氏は「言い間違えた」とツイートした。

コンウェイ氏はMSNBCで、トランプ大統領による特定7国の国民の入国制限命令の必要性を強調。オバマ政権でも「イラク難民の受け入れを6カ月間禁止した」、それは「過激化したイラク人2人がこの国に来て、その2人がボウリング・グリーン虐殺の首謀者だったからだ」と述べ、さらに「ほとんどの人はこのことを知らない。報道されなかったので」と付け加えた。

しかし、「ボウリング・グリーン虐殺」は起きていない。

コンウェイ氏は後に、「ボウリング・グリーンのテロリスト」と言うつもりだったとツイートしたが、その後は自分を批判する人々やマスコミへの批判を重ねている

バラク・オバマ前大統領は2011年、イラク人男性2人がテロ容疑で逮捕された後、入国審査を強化したが、正式な入国禁止命令を出したことはなかった。

イラク人のワアド・ラマダン・アルワン受刑者とモハナド・シャリーフ・ハマディ受刑者は、イラクの過激派アルカイダを支援するため武器や資金をイラクに送ろうとした疑いで逮捕され、起訴され、有罪となった。2人はイラク国内で駐留米軍に自家製爆弾を使用したことも認めた。2人とも、現在も服役中。

2人はケンタッキー州ボウリング・グリーン在住だったが、米国内でテロ攻撃を実施したことはなく、米国内での攻撃を計画した疑いも持たれていない。

下院対テロ・情報小委員会は公聴会で、この2人が「イラク難民受け入れの特別プログラム」を悪用したと指摘。イラク難民の審査方法があらためて点検されることとなり、同年のイラク難民受け入れ人数は前年の1万8016人から9388人に一時的に減少した。翌年の受け入れは1万2163人と増えた。

コンウェイ氏がMSNBCで「ボウリング・グリーン虐殺」と発言して間もなく、ツイッターなどではコンウェイ氏をからかう投稿が相次いだ。「2月30日に起きなかったあの虐殺を決して忘れない」など、起きていない虐殺の存在しない被害者を追悼したり、「決して忘れない」、もしくは「決して覚えない」などのハッシュタグも使われた。週末にかけてニューヨークやロンドンなどで行われた反トランプ政権集会でも、「ボウリング・グリーンを忘れるな」などのプラカードが多数登場した。

コンウェイ氏は1月の大統領就任式の後、観衆の人数に関する大統領報道官の説明が客観的事実と違うとNBCニュースの番組で問いただされ、「あれはalternative facts(代わりの事実)」だと述べ、「alternative facts」という表現と共に話題になった。コンウェイ氏のこの発言を受けて、米国ではジョージ・オーウェルの小説「1984」がベストセラーになった。

(英語記事 Bowling Green massacre: Trump aide cites non-existent attack

提供元:http://www.bbc.com/japanese/38877077

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