世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年2月14日

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 フィナンシャル・タイムズ紙主任経済コメンテーターのマーティン・ウルフが、1月17日付同紙にて、今の世界には世の中に憤慨する者を基礎とする国家主義がはびこり、選挙を踏まえた独裁主義が生まれつつある、と警告しています。要旨、次の通り。

(iStock)
 

 国家は共同体の中で最も強い絆を与える。歴史的に国家は戦争をするか、貿易をしてきた。貿易は協力と繁栄をもたらす。しかし、貿易は国家に対する忠誠を弱める。それと同時に、グローバル化の勝ち組は、勝たなかった者への関心を怠った。また勝ち組は金融危機をもたらし、彼らの誠実さと能力の評価は地に落ちた。

 これを背景に、「憤慨する国家主義」と称すべきものが扇動された。社会的、経済的変化で世界が変わってしまったと見る者が、憤慨する国家主義と保護主義に走るのは不思議ではない。憤慨する国家主義は、下からのものだけではなく、権力を求める者の戦術でもある。彼らは彼らを支持する「真の国民」と、「国民の敵」を区別する。彼らにとって毎日が戦争であり、戦争ではすべてが正当化される。

 そして彼らは自由民主主義を「国民投票に基づく独裁主義」に変えるのは当然であると考える。ポーランドやトルコがいい例である。独立の情報源は腐敗しているとみなされる。トランプはどこまで国民投票に基づく独裁主義への道を歩むのであろうか。

 大方は米国の諸制度がしっかりしているので、たいして進まないだろうと見ている。しかし制度の強さはその制度を運用する人による。米国の司法は言論の自由を守るだろうか。議会は投票権を守るだろうか。トランプは彼に反対する者を脅して黙らせるだろうか。

 イスラエルの思想家のYuval Harariは、自由民主主義と自由市場に幻滅を感じたと言っても、誰もそれに代わる世界的に魅力のあるビジョンを打ち出していない、と言った。しかし「権威主義的国家主義」がそれに代わり得る。いまや権威主義的国家主義が世界体制の中心に座るようになった。

出典:Martin Wolf,‘The economic peril of aggrieved nationalism’(Financial Times, January 17, 2017)
https://www.ft.com/content/5c7c6a26-db0a-11e6-9d7c-be108f1c1dce

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