2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年2月15日

米外交界の重鎮

 リチャード・ハースは、米外交評議会会長の肩書が示すように、米外交界の重鎮です。その重鎮がトランプに対し、外交の継続性を重視する必要を説いたのがこの論説です。

 特に大国はその外交政策を急激に変えると、同盟国にも敵対国にも不確実性を与え、世界情勢を不安定化するという大きなデメリットがあるとの論には説得力があります。

 日本に社会党の村山富一政権ができたとき、外務省は村山総理に外交における継続性の重要性を説いたことがあります。また、細川護煕内閣ができたころに、中曽根康弘総理が小沢一郎氏は日本国を身軽なベンチャー・ビジネスと考え、大企業とは考えていないのではないかと批判していました。大国は外交政策を簡単に変えない方が世界の安定につながります。

 トランプ大統領がこういう意見にどれほど耳を傾けるかは依然としてはっきりしません。国務、国防両長官やCIA長官の上院での承認公聴会での発言をみると、これらの閣僚の発言は常識的な発言です。しかし、トランプ大統領は、自分と相談のうえでの発言ではないと言っていますし、自分の行動を予期しがたいものにして、主導権をとろうとする癖があるように思われます。大国の指導者としての落ち着きにかけ、思い付きを言い出すところがあるように思われます。

 困ったことですが、そのマイナスを極力抑えるように対応していくしかないだろうと思います。とりあえずは、日米同盟の重要性をトランプ大統領に刷り込んでいくことが重要です。

  
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