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2017年2月15日

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ビル・ウィルソン ビジネス担当記者

日本の電機大手、東芝の状況は、悪化の一途をたどっている。東芝は14日、2016年4~12月期に米原子力事業の損失7000億円前後を計上すると発表した。

同社をめぐる混乱が続いた14日、志賀重範会長が取締役と代表執行役から退任することが明らかになり、決算発表は1カ月延期された。そのため3月14日が注目の日となる。

しかし、東芝の年度決算は間違いなく赤字になる。これは疑いようがない。

東芝は資金確保のため、分社化予定のNAND型フラッシュメモリー事業について、外部出資を過半にするよう検討していると明らかにした。

2015年の利益水増し発覚が、相次ぐ問題の発端だった。

何が問題だったのか

多くの人は依然として、東芝を電機メーカーとしてみているが、事業の柱は別の分野に移っている。例えば、海外市場向けのテレビの製造からは撤退しているし、白物家電事業は赤字だ。

東芝は現在、非常に多角化したコングロマリット(複合企業体)だ。最近の一連の問題は、売り上げの約3割を占める原子力事業で出来した。

東芝は昨年12月、米国の原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)による取引から、巨額損失が発生すると発表した。

WHは2015年に、米原発建設会社「CB&I ストーン・アンド・ウェブスター」をシカゴ・ブリッジ・アンド・アイロン(CB&I)から買収した。しかし、買収後に資産が当初の評価を下回っていることが判明したほか、未払い金をめぐって他社と争っていることが分かった。

東芝はさらに、CB&Iの人員の「非効率性」など、費用の押し上げ要因があったと明らかにしている。

では今後はどうなる?

東芝は、別の主力事業が救い主となるのを期待している。スマートフォンやパソコン向けの半導体メモリー事業だ。事業価値は90~130億ドル(約1兆300億~1兆5000億円)とみられる。

東芝は韓国のサムスン電子に次ぐ世界第2位の半導体メーカーだ。

東芝は先月27日、NAND型フラッシュメモリー事業の分社化計画を発表。外部からの出資を受け入れることで原発事業の損失埋め合わせの資金を調達する考えを示した。

当初は出資比率を約2割にする予定だったが、状況があまりに悪化したため、より高い出資比率を認めざるを得なくなった。

2割の出資で調達額は20億ドル以上になるが、現在の困難な状況を切り抜けるのには十分ではない。さらに、出資交渉で相手先は安く買い叩こうとするだろう。

出資者の候補として、日本政策投資銀行の名前が挙がっているほか、業界ライバルのキャノンや米半導体大手ウエスタンデジタルも関心を示していると言われる。韓国のSKハイニックスからの出資も取りざたされている。

東芝が最後に好調事業を売却したのは、そう昔のことではない。東芝は2016年に、MRI(磁気共鳴画像装置)や超音波診断システム、X線画像診断システムを手掛ける東芝メディカルシステムズを、キャノンに6600億円余りで売却した。

東芝の評価にはどう響くのか

東芝の誰かが計算を間違ったのか、もしくは原子力事業の問題がいかに深刻かを認識できていなかったようだ。そしてどちらにしても、経営陣の失態であることには変わりない。

これに決算発表をめぐる騒ぎが加わったわけだ。発表は14日正午の予定に間に合わず、1カ月後に変更。ウェスチングハウスの経営者が社内で不適切な圧力をかけた疑いについて調査する必要があるからだと、理由をそのように説明した。

しかし、数時間後には監査法人の承認を得ていない決算見通しを公表した上で、正式な発表は1カ月後になると述べた。

こうした諸問題は、2015年に利益水増し発覚で当時の田中久雄社長が辞任に追い込まれたことも、まだ尾を引いているなかで起きている。

東芝の原子力事業の先行きは?

東芝の原子力事業は2013年以降赤字が続いている。今回の損失は1回限りだが、原子力事業は世界中で苦戦している。

2011年の東日本大震災で起きた東京電力福島第1原発の事故以来、原子力発電には向かい風が吹いている。各国政府は電源構成の原子力の比率を下げてようとしている。台湾のように、原子力発電をやめ、再生可能エネルギーに注力することにした事例もある。

世界中で原子力発電の大規模計画が大幅に遅れている。遅延の理由には、規制を満たすために必要な熟練した労働者が不足していることもある。

例えば、東芝が2006年に買収したウェスチングハウスは、米ジョージア、サウスカロライナ両州で新世代の原子力発電施設を建設しているが、工事は予定より遅れ、予算が当初計画を上回る事態になっている。

昨年12月中旬以来、東芝株は2分の1以下に――株価下落はなぜ問題なのか

株価が下落したのには理由がある。投資家たちは東芝の状況に不安を感じている。格付け会社は東芝の債務格付けを引き下げ、同社の借入コストは上昇した。

株価が下がれば、増資による調達金額も減る。そのため、銀行融資に頼るか、すでに発表されているように事業の切り売りをして資金を得ることになる。

東芝株を昨年末から所有しつづけている投資家にとっては、大幅に価値が下がったのは間違いない。

しかし長期的にみれば、2016年の東芝株のパフォーマンスは年末までとても良かった。12月26日まで、東芝株の上昇率は70%以上で、日経平均株価の採用銘柄で2番目に高かった。12月末の大幅下落によって上昇率は5%まで低下した。

(英語記事 Toshiba: What's going wrong?

提供元:http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-38977737

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