WEDGE REPORT

2017年2月16日

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脱北エリートが目論む「北朝鮮亡命政府」構想

 韓国・国家情報院による「金正男暗殺指令」の情報や偵察総局「暗殺組」の存在、そして金正男氏殺害時の状況から、事件は北朝鮮偵察総局が直接あるいは間接的に起こしたことは間違いないだろう。だが、北朝鮮がなぜこの時期に、しかも公衆の面前で金正男氏を殺害しなければならなかったのか、という疑問は残る。

 金正恩政権は、対外的には核・ミサイル開発で国際的な制裁を受け、国内的には父・金正日時代から仕えた党や軍の高官を次々に粛清しながらも、盤石の安定をみせている。海外で事実上の亡命生活を送り、国内に支持基盤がなく、金正恩を政治的に脅かす存在でない異母兄を殺害する合理的な理由は見当たらないようにもみえるがーー。

 ある脱北者団体のリーダーは昨年夏、2017年上半期までに米国ワシントンに「北朝鮮亡命政府」を樹立する構想を披露した。金正恩体制に反発して脱北したエリートを中心とする亡命政府を作り、政治的には自由民主主義体制を、経済的には中国式の改革・開放政策を目指す国家を樹立するという内容だ。

 そして公にはされていないが、「北朝鮮亡命政府」の首班に金正男氏を推戴することも計画されていたという。金正男氏自身は政治に関心がなく、投資顧問として悠々自適な生活を送っており、過去には「世襲」反対を明言している。正男氏が自由な生活と身の安全を犠牲にしてまで、亡命政府首班への推戴を受け入れたとは考えづらい。

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