2017年3月30日(木)

トヨタ自動車

2017年2月24日

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 トヨタ自動車創立50周年を記念し設立され、自動車誕生以来の歴史を世界の約160台を揃えて紹介するトヨタ博物館。2017年1月に本館が大幅リニューアルし、日・米・欧の自動車の歴史がより一層わかりやすく一望できるようになった。自動車の歴史を学びながら、人と車の豊かな未来について考えられるスペースを探訪した。

 

自動車文化を発信する「モノ語る博物館」

 人類の発展に大きく寄与した出来事といえばモータリゼーション。車は常に社会と結びついた乗り物であり、時代の変化に呼応して進化や競争が生まれ、モデルチェンジが繰り返されてきた。デザインや技術をはじめとした車の変遷を見ることは、自動車産業の発展を知ることだけでなく、カルチャーや時代の空気感、そして人々の暮らしなど多様な側面を理解することにつながる。

 そんな車を通して世界を見るための格好の場所が「トヨタ博物館」だ。トヨタ自動車の本拠地・愛知県で、時代を彩った名車を約160台集め、ガソリン自動車の誕生から現代まで脈々と続く歴史を国やメーカーに制限を設けずに展示。1989年のオープン以来、幅広い世代や趣味嗜好を持った人々が集まる博物館である。そのトヨタ博物館が、2016年1月よりリニューアルを進め、2017年1月4日、本館常設展示のリニューアルが完了。当日、現地を訪れ、新しくなった博物館内を布垣館長の案内のもと、見学させていただいた。

 「トヨタ博物館の設立趣旨は『皆さまとともに歴史を学び人と車の豊かな未来のために博物館をつくりました』であり、そのもとにガソリン自動車誕生以来の歴史を紹介しています。自動車の歴史を振り返ると、戦前までは圧倒的に欧米が先行しており、日本の自動車産業が花咲き始めるのは戦後以降。従って、2階に海外の自動車、3階に日本の自動車と分けて展示していました。しかし、近年日本の自動車産業が世界をリードするように発達し、海外に生産拠点を移すなど急激にグローバル化が進行。より一層、自動車の歴史・文化に親しみ、時代の流れの中で世界と日本の自動車産業がどのように絡み合いながら進化してきたのかを分かりやすく、より多くの方に伝えていきたいと考え、展示方法を再考しました。国別に分けるのではなく、時代ごとに各国の自動車がどのような存在だったのか、そしてその時代の象徴はどのようなものだったのかが一目でわかるようにリニューアルを図りました。車は〝時代の空気を呼吸して生まれるもの〟ということを理解していただければと考えています」と布垣館長はリニューアルの意図を語る。

自動車の黎明期から大衆化に向けての歩み

 本館1階に足を踏み入れると、『トヨダAA型乗用車』がお出迎え。本館2階に上がると、19世紀末の自動車黎明期から第二次世界大戦後まもなくの1950年代に至る歴史が、8つのゾーンに分かれ紹介されている。

本館1階のシンボルゾーンには、1936年トヨタ自動車初の生産型乗用車の『トヨダAA型乗用車』(レプリカ)が展示。アメリカに渡った豊田喜一郎は、街に自動車が溢れているのを目の当たりにする。そのことが日本にもモータリゼーションが訪れることを確信し、純国産自動車の開発を目指し、奮闘した結晶と言える1台である。

 「自動車の歴史がスタートする1890年代、蒸気・電気・ガソリンの3つの動力が競い合っていました。現在のガソリン・ハイブリッド・電気・水素など新たな道を模索している時代と似ています。ガソリンが主導となり、貴族や上流階級の一部が楽しむものから、一般の乗り物として大衆化へと進む道が一目でわかるように工夫しています。この時代は欧米車がほぼ圧倒していますが、1932年の『ダットサン11型フェートン』や1935年の『筑波号』、戦後1951年『トヨペットSA型乗用車』など、日本車が誕生し、欧米に追いつくための努力をしていたことも感じとっていただければと思います」と布垣館長。

 貴族が乗る豪華な自動車から大衆化に大きな貢献をした『フォード モデルT』、流線型時代を象徴する『リンカーン ゼファ シリーズHB』、そして戦後新たな時代の幕開けを象徴する各国の自動車など、見どころは満載だ。

モータリゼーションの進展と未来へ向けた自動車の多様化

 さて、布垣館長と今回リニューアルされた本館3階に向かうと、純国産方式にこだわり1955年に発表された初代のクラウンである『トヨペットクラウンRS』が鎮座。その奥にはトヨタ自動車創業者の豊田喜一郎の当時使用していた定規や自筆の図面、原稿などが展示され、純国産車の製造に傾けた熱い思いが感じられる。

 

 「従来の日本車のみの展示から、欧米車を含んだ常設展示初披露の19台を加えたスタイルに変えました。戦後から現代に至る創造への情熱、独創的な技術やデザインの推移など、日・米・欧の自動車が互いに影響を受け、成長し、試練を乗り越えて発展してきた歴史を当時の時代背景とともに5つのゾーンで紹介しています。ちなみにトヨタ博物館の展示車は、7人の整備スタッフによって順次メンテナンスを行なっており、走行可能な状態を維持し続けています」と布垣館長。1955年に通産省が提唱した国民車構想に呼応する形で誕生した『スバル360』や1960年代から誕生したミドルクラスの代表車『BMW1500』など、訪れる方にとってかつて目にした懐かしい車が多くある。

 「1970年台の厳しい排出ガス規制は、世界中のメーカーが直面した問題。『ホンダ シビック CVCC』を始めとして、日本車メーカーはこの難題を乗り越える事によって、現在の環境技術にも優位につながる基盤を築きあげました。その勢いで80年代以降、従来のジャンルをクロスオーバーしたミニバンやSUVなど新しい車型を生み出し、日本車は世界としのぎを削ってきました。さらに『トヨタ プリウス』の登場以降、自動車の動力に対する新たな挑戦が広がり、現代のハイブリッドカーや燃料電池車の素地となりました」と、布垣館長は日本車が世界の自動車シーンで担ってきた役割を話す。

 今回のリニューアルによって、本館常設展示は19世紀末の自動車誕生から現代までの発展を一望できるようになった。2019年には開館30周年を迎えるトヨタ博物館。今後もさらに段階的なリニューアルを行い、社会と結びついた自動車の歴史やカルチャーを発信していくという。

 「今後、日本が先進グループに居続けるために、環境新技術や自動運転といった先進技術で遅れをとらない事は必要要件ですが、それだけでは不十分です。日本メーカーならではの自動車文化に磨きをかけ、機能以上の価値を認めてもらえる存在になれるかどうかも大切です。トヨタ博物館がそういうヒントを提供する場所になれるよう、引き続き努力していきます」と布垣館長は最後に締めくくってくれた。