前向きに読み解く経済の裏側

2017年2月20日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 今ひとつ、為替レートの影響も考慮する必要があります。為替レートが割高な国は、日本と同じ生活水準でもGDPが大きくなります。その分物価も高いので、実体としては豊かではないのですが、統計を見ると豊かに暮らしているように見えるので、注意が必要です。反対に、途上国は一般に為替レートが割安なことが多いので、途上国の人が「1日1ドルで暮らしている」と聞いても、驚くことはありません。そうした国では、物価も安いからです。単純化すれば、「1人が1日1ドルで暮らしているということは、人を1人雇うのに1ドル払えば良いのだから、物が安く作れるはずだ」ということになるわけです。

 国連などでは、こうした為替レートの問題を緩和するため、「各国の物価水準が等しくなるための為替レート」を発表し、これを用いて各国の生活水準を比較しています。それによると、既に中国のGDPは米国を抜いています。もっとも、中国の方が米国よりも遥かに人口が多いので、一人当たりGDPでは中国の方が圧倒的に少ないわけで、中国人が米国人より豊かに暮らしているということでは決してありませんが。

貯金があるか否かを示す「対外純資産」は日本が世界一

 「家計に貯金があるか否か」と似た概念としては、対外純資産が挙げられます。毎年の経常収支黒字が海外への貸出として積み上がって来たことから、日本は対外純資産が世界一の大きさになっています。

 その意味では、日本は世界一の金持ちだと言えないことはありません。勤勉に働いて倹約に勤めて来た結果、貯金が貯まった、というわけですから、他人から羨ましく思われたり妬まれたりする筋のものではありません。

 「そんなにガツガツ働いて、楽しいことも我慢して、金だけ貯めて、人生楽しいか?」と聞かれてどう答えるかは、人それぞれですが、海外からそう見られている可能性は高いかも知れませんね。

 余談ですが、米国は日本より一人あたりGDPが大きいので、日本人より「稼いでいる」わけですが、それでは飽き足らずに日本などから巨額の借金をして優雅に暮らしています。米国が破産するとは誰も思っていませんから、皆が安心して金を貸していますが、実は米国は超借金漬けなのです。

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