前向きに読み解く経済の裏側

2017年2月20日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

日本政府は赤字で巨額の借金があるが……

 日本政府は、赤字です。巨額の借金を抱えて、将来は破産するかも知れないと心配している人が大勢います。それと「日本人は金持ちだ」ということと、どういう関係にあるのでしょうか。それは、日本の民間部門が金持ちで、政府に金を貸していて、余った分を海外に貸している、ということなのです。

 「我々が毎年、給料の中から貯金をして老後に備えている。その貯金が銀行から政府に貸し出されているが、銀行に集まる貯金は政府が借りたい額よりも多いので、銀行が海外の銀行や政府に余った分の金を貸している」といったイメージです。

 銀行が毎年海外に貸しているので、海外に対する貸出残高が積み上がっています。これが上記の対外純資産です。銀行が政府に毎年貸している金額が政府の財政赤字で、毎年の貸出額が積み上がった金額が政府の借金総額となります。

 イメージは以上なのですが、正確に言えば、少し違います。現役世代の家計は老後に備えて貯金をしていますが、高齢者世帯は貯金を取り崩して生活しているので、家計部門全体としては、毎年貯金が増えているというわけではありません。一方で、企業は、利益が出ても設備投資をせずに銀行への借金返済を優先しているので、銀行には企業から戻って来た金が貯まっています。それを政府に貸したり外国に貸したりしているわけです。

 日本企業が、もっと積極的に設備投資をして、新しい工場などを建ててくれれば、日本経済が元気になるのに、残念なことです。一方で、日本企業が設備投資を頑張ると、銀行に返す金がなくなり、銀行が海外に貸す金がなくなりますが、そんなことよりも日本経済が元気になってくれることの方が重要です。その意味では、対外純資産が大きいということは、あまり喜べることではなさそうですね。

  
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