赤坂英一の野球丸

2017年3月1日

»著者プロフィール

 3月7日開幕のWBCに備え、侍ジャパンとソフトバンクの練習試合がサンマリンスタジアムで行われた25日、ところも同じ宮崎の、車で約30分ほどの生目の杜第2球場では、大変興味深い〝サバイバルマッチ〟が行われていた。今季復活するかどうか、注目されるソフトバンク・松坂大輔が、巨人の二軍との練習試合に先発登板したのである。日本では1回3安打4四死球5失点と大炎上した昨年10月2日の楽天戦以来約4カ月3週間ぶり、今年初となる実戦マウンドだった。

(iStock)
 

 結果は2回1安打3四球1失点。松坂自身が「見ての通り。やればやるほど悩みます」と振り返ったように、数字以上に大きな課題の残る内容だった。立ち上がりの初回は橋本到を左飛、寺内崇幸を見逃し三振、脇谷亮太を遊飛と、かつて巨人でレギュラーを張った選手たちをすべて真っ直ぐで三者凡退。が、二回は先頭の中井大介を四球で歩かせると、その中井の盗塁と亀井善行の右飛で1死三塁とされ、相川亮二の右前適時打で簡単に1点を失った。さらに北篤、坂口真規に連続四球を与え、満塁となって昨年の楽天戦の悪夢が再現される寸前までいく。ここから松本哲也を投ゴロ併殺打に打ち取ったものの、2月17日付の当コラム(『〝松坂劇場〟と化したソフトバンクキャンプ』)でも書いた通り、ソフトバンク首脳陣の不安が的中した形となった。

 松坂といえば、2000年シドニー五輪、04年アトランタ五輪で日本代表のエースを務め、06年第1回WBCではMVPも獲得した。それから10年後、いまの日本代表・侍ジャパンが今年初めての実戦に臨んだのと同じ日に、巨人の二軍すら抑えることができなくなっている。そこにプロ野球選手の悲哀を、もっと言えば人生の苛酷さを見るのは、私だけではないだろう。ただ、いまだに推定年俸が4億円である以上、同情するには値しないが。

 生き残りに必死なのは松坂より、1ケタも2ケタも安い給料しかもらっていない巨人の選手たちのほうだろう。原辰徳前監督の時代は一軍で活躍していた顔ぶれが、大がかりな補強が行われた今年はキャンプから二軍スタート。「ほんの2年前なら亀井、松本、脇谷、寺内、橋本、藤村(大介)がみんなまとめて二軍なんて考えられなかったのに」と、球団関係者も複雑な表情を浮かべているほど。

 しかし、そうした状況にあっても、「今年はチャンスがあると思っています」と秘かに闘志を燃やしている選手は少なくない。とくに野手は、新戦力の陽岱鋼が下半身の張りで出遅れた外野の一角、外国人枠の兼ね合いでレギュラーのルイス・クルーズが外されるかもしれないセカンドなど、開幕したら意外に大きな〝穴〟と化しそうなポジションもある。「そういうときに備えて、自分を使いたいと首脳陣に思ってもらえるよう、しっかり練習しておきます」と言う中堅選手もいるのだ。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る