2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年3月6日

平和に対する脅威

 上記提言の内容は妥当なものであり、大筋において異論はありません。現在中国がやっていることは、国連憲章39条の「平和に対する脅威」と認定されておかしくないようなことです。トランプ政権が骨太の戦略を打ち出すことを期待したいものです。

 航行の自由作戦は、定期的に実施する必要があります。オバマ政権時代のどことなく腰の引けた実施ぶりではなく、どういう法的効果を狙って、どういう態様で、どういう航路で実施したかを明確にすべきものと思います。海洋調査のようなもっと穏便な活動もあっていいでしょうが、水中ドローンを眼前で中国海軍に盗まれるという先般の失態は米側の弱さを見せたようなものであり、繰り返してはなりません。

 領有権の紛争に中立の立場を維持することが米国の立場として健全であるという指摘に敢えてコメントすれば、南シナ海に該当するケースがあるかどうかはともかくとして、米国が関与した事案であって、法と正義に照らして判断が可能なのであれば、その判断を宣明しないのは責任ある態度とはいえないと思います。北方四島については、米国はそれをしています。尖閣諸島についても、米国は「日本領土と考える」と宣明することが責任ある態度だと思います。もっとも、日本の施政の下にあり、安保条約5条の対象となるということで当面の目的に過不足はないのかも知れません。さらに、米韓関係が崩壊の危機に瀕することになるでしょうが、竹島についてすら、米国は日本の領土だと言い得るのではないかと思います。

  
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