ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2017年3月6日

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佐藤達夫 (さとう・たつお)

食生活ジャーナリスト

1947年5月30日、千葉県千葉市生まれ。1971年北海道大学水産学部卒業。1980年から女子栄養大学出版部へ勤務。月刊『栄養と料理』の編集に携わり、1995年より同誌編集長を務める。1999年に独立し、食生活ジャーナリストとして、さまざまなメディアを通じて、あるいは各地の講演で「健康のためにはどのような食生活を送ればいいか」という情報を発信している。日本ペンクラブ会員、女子栄養大学非常勤講師(食文化情報論)、食生活ジャーナリストの会事務局長。主な著書共著書に『食べモノの道理』(じゃこめてい出版)、『栄養と健康のウソホント』(一般社団法人家の光協会)、『これが糖血病だ!』(女子栄養大学出版部)、『安全な食品の選び方・食べ方事典』(成美堂出版)、『野菜の学校』(岩波書店)、『新しい食品表示の見方がよくわかる本』(中経出版)ほか多数。講演活動では、「あなたはなぜやせられないか?」「生活習慣病は自分で治す」など肥満や糖尿病のメカニズムや、「健康長寿のための食事と生活」という食生活と健康にまつわる最新情報を、医師の視線ではなく、一般の人にわかりやすいことばで提供する。あるいは、健康を保つ上で欠かせない技術としての「安全な食品の選び方」や「食品表示の見方」あるいは「健康にいい野菜の栄養情報」を、やさしく解説する。また、長年、女性雑誌を編集してきた立場から、「男性の家事が社会を変える」「中高年からの二人暮らし」などのテーマで、男性の家庭内自立を説く。

加熱野菜のほうがたくさん(重量で)食べられる

 前回のこのコラムで「野菜の目標摂取量は350グラム」だと書いた。日本人の平均摂取量は290グラムくらいなので、おそらく平均よりは少ないであろうビジネスパーソンは「今よりもたくさん」野菜を食べなくてはならない。じゃ、「たくさん」食べるにはどうすればいいのか。

 その前に、目標の野菜摂取量が重量で示されている点に注目しよう。たくさんというのは「何皿以上」でもなく「何カロリー以上」でもなく、「350グラム以上」なのである。野菜を一日に何回食べれば健康になれるとか、何カロリー以上を食べれば健康になれる、とかいうデータはない。健康のためには一日に野菜350グラム以上を食べるのがいいらしいというデータがあるだけだ。つまり、どんな野菜でもいいし、どんな食べ方でもかまわない。

 ただし、重量なので「重さ」を稼がなくてはならない。当たり前の話になるが、「重さ」を稼ぐためには「1食で口に入る量が重い野菜」を食べるのが手っ取り早い。代表的なのは、カボチャとブロッコリー、次にはダイコンやカブ、そしてタケノコやレンコンが続く。トマトやナスも忘れてはならない。

 一方で、重量が軽い(あるいは1回に食べる量が少ない)野菜というと何になるだろうか。レタスやサラダナやキャベツなどの葉物はこちらに入る。タマネギ、ネギ、ピーマン、キュウリなどもこちらに含まれるだろう。葉物で1回に食べる量が多いのはホウレンソウとハクサイくらいだろうか。

 お気づきの人もあろうかと思うが、「重い」ほうに分類される野菜は、ふつうは加熱して食べることが多い物ばかりだ。例外はトマトくらいか。逆に「軽い」ほうに分類される野菜は、ふつうはサラダなど生で食べる物に多い。たくさん食べるときは(ハクサイやホウレンソウなど)加熱料理に限られる。

カボチャとブロッコリーとニンジン抜きでは
集団給食は成り立たない

 この現象を、食材のほうからではなく食べ方のほうから見ると「野菜をたくさん食べようとするなら生よりも加熱するほうがいい」という法則に結びつく。じつは前回の記事が公開された直後に読者から「生野菜よりも加熱野菜のほうが健康にいいというデータはあるのか?」という鋭いツッコミが編集部に入ったそうだ。ご指摘の通り、そういう実験データは(私の知る限り)ない。

 しかし、加熱野菜のほうがたくさん食べられるので、「一日350グラム」という目標をクリアしやすいから健康に貢献するだろうという推測はできる。また、生野菜料理に比べて、加熱野菜料理はひと手間かかる。自分で調理するときは面倒だし、外食なら価格がその分だけ高めに設定される。つまり加熱料理は「食べにくい」要素が加わっている。それを「わざわざ食べる」という点で「自分は健康に気をつけて食事をしている」という意識が働く。このことがその人の食習慣によい影響を与えることになるのではないか。

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