ネット炎上のかけらを拾いに

2017年3月7日

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犯人は「要らないのなら返して」とツイートしていた

 また、この件で必ず言っておかなければならないのは、すでにネット上でも指摘されていることだが、Y氏がこのニュースに関しての報道をよく知らないのではないかという点だ。

 本欄では事件発生後にこの件を取り上げている。(過去記事:ファンによる女性刺傷事件 ネット上に残された加害者の「試し行動」

 この過去記事でも書いたことだが、加害者は被害者に対し、「(贈ったプレゼントを)要らないのなら返して。それは僕の『心』だ」とツイートを送ったり、なぜ自分を未だにブロックしないのかと問いかけたりしていた。また、被害者は警察に相談した際に「使っているSNSから犯人のアカウントをブロックしてください」とアドバイスを受けたことを、代理人を通じて発表した手記で明かしている。

 Y氏は「迂闊にファンをブロックしてはダメです」と書くが、これは本来、そのまま警察に向けて言われるべき言葉だろう。ブロックは警察が指示したのだから。それとも、警察に言われたとしてもそれを無視するほどの自主判断が必要だったと言いたいのだろうか。

 プレゼントについても、被害者は加害者から「返して」と言われたから返したと見るのが妥当だろう。SNSで執拗につきまとってくる男性からそう言われて送り返すのは、「当てつけ」であり、「落ち度」なのだろうか? もし返さなかったとしても、加害者は「無視するな」と激高していたのではないかと思うのだが。

 裁判や判決を伝えた報道の中には、被害者が警察からアドバイスを受けていたことや加害者が被害者に送り付けていたツイートの詳細を省き、被害者がブロックしたり、プレゼントを返したことのみを伝えているものもあった。こういった報道については、ネット上でたやすく二次加害が行われやすい現状において、報道側が慎重にならなければいけない点だと感じる。ネットニュースの匿名コメント欄だけではなく、Y氏のような著名人ですら、被害者に対して二次加害を加えることがあるからだ。

 とはいえ前段でも述べた通り、たとえどんな理由があったとしても、被害者の落ち度を多くの人の前で言い立てるのは二次加害だ。インターネット上の文章は全世界に開かれている。被害者自身や、その家族、関係者がその文章を目にすることは充分にあり得る。

女性を「気のキツい子」と表現するY氏の理不尽

 さてこの件についてはもう一つ言いたいことがある。

 たとえ警察のアドバイスがなく、被害者から加害者をブロックしていた場合。もしくは「プレゼントを返して」と言われていないのに送り返していた場合。それは「気の強さ」と表現されるものなのだろうか。

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