風の谷幼稚園 3歳から心を育てる

2010年5月20日

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野村 滋 (のむら・しげる)

株式会社コンテンツ・ファクトリー代表

情報誌会社勤務時代に取材で、創立間もない風の谷幼稚園と出会う。その後12年間、風の谷幼稚園の変遷を追い続けている。風の谷幼稚園の教育実践記『4歳の胸のうち』『5歳の誇り』を同社から出版。

『巣立って行く君たちへ』
風の谷幼稚園での生活は今日で終わりです。
雨の日も、風の日も、汗が流れる夏の日も、雪が舞い散る寒い日も、元気で毎日幼稚園に通ってきました。
そして、紙や粘土や木片や羊の毛を使って、沢山の物を作ってきました。
また、はさみを使い、かなづちを使い、きりやのこぎりや包丁、彫刻刀を使い、無造作に触れれば血が流れる道具類を使いこなせるようになりました。
幼稚園の生活を通して、自分の手が物を生み出す素晴らしい手であることに自信を持ち、自分の足が野山を歩き、海の岩場をものともせずに歩ける足であることに自信を持ったあなたたちです。
仲間の気持ちを考え、励まし、力を合わせ共に育った経験は、仲間っていいなぁ、人間っていいなぁ、そういう思いをみんなの心の中に強く残したことでしょう。
劇づくりを通して、自分を客観的に見る力を育て、太鼓を通して緊張感を持った集中力、そしてその緊張感を維持できるだけの強さをあなたたちは身につけました。
今、あなたたちが風の谷の子どもとして、自信にあふれ誇りを持って輝いている姿が何よりもうれしいです。
幼稚園を卒園していくあなたたちの心に刻んでおいて欲しい事があります。
それは、どんなに苦しくて辛くても、へこたれず、必ず乗り越えられるはずだ、と思える強い心を持った人でいること。そして、困った人がいたら手を差し伸べて、悲しんでいる人がいたら「どうしたの?」と声をかけられる人でいること。
あなたたちの身体と心にいっぱい詰まっている、そのすばらしい力を、これからは大勢の人たちのために役立ててほしいということです。

天野園長から卒園証書を手渡され、元気に返事をして受け取る子どもたち。
身体も心も大きく成長した彼らが、いよいよ風の谷幼稚園を巣立つときがきた。大人が正しい方向へ導いてくれた子どもたちの未来は明るいだろう。

 まだ肌寒さが残る2010年3月16日。この日に風の谷幼稚園の第12回目の卒園式が行われた。「この日に満開になるように」とお母さんたちが準備し玄関ギャラリーいっぱいに飾られた色とりどりの花と先生たちに迎えられて登園する風組の子どもたち。仲間たちとの思い出がたくさんつまった教室で待機し、いよいよ卒園式の開始時間となった。花組(年少児)と鳥組(年中児)と父兄が待つ中庭のステージに現れた風組の子どもたちの姿を先生たちは万感の思いで見守り、卒園式は厳かに始まった。園長から一人ひとりに卒園証書が手渡され、元気に返事をして受け取る子どもたち。そして、園長からは冒頭の言葉が贈られ、風組の子どもたちはいよいよ風の谷幼稚園を巣立っていく・・・。

 さて、31回にわたって、お伝えしてきたこの密着レポートも、子どもたちの卒園をお伝えするとともに、今回が最終回となった。長期にわたってお読みいただいた読者のみなさまに御礼を申し上げるとともに、最終回では、テーマとの関係で今までお伝えできなかった印象的なエピソードと取材の感想をご紹介し、この連載を締めくくりたいと思う。

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