オトナの教養 週末の一冊

2017年3月17日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――常時、職員はどれくらいの家庭で虐待などが起きていないかをチェックしているものなんですか?

慎:多くの児童相談所では、児童福祉司1人が100件ほどの案件を抱えています。多くの職員が朝9時から夜10時まで働いています。

 そういった状況で、職員たちはなかなか気が休まらないと言います。なぜなら当番中は、24時間いつ虐待の通報が入ってくるかわかりませんから。例え、きちんと引き継ぎをし、休暇で旅行に出ても、旅先で電話がなると不安になるそうです。休暇中にもかかわらず、電話が掛かってくるということは、担当している家庭で何かトラブルが起こった可能性が高いためです。

――1人が100件も抱えていて、虐待などを未然に防げるものなのでしょうか?

慎:イギリスでは、1人につき30件以下に抑えているそうです。そうでなければ、虐待死を防ぐことが難しいという理由です。そう考えると、日本の100件は多すぎます。ただ、イギリスのように30件以下に抑えようとすると、単純に現在の3倍は職員を増やさなければいけません。

――児童相談所の職員は成り手が少ないと聞きます。そうした状況で、職員を3倍に増やすのは難しいですよね。どんな対策を考えていますか?

慎:児童相談所が現在行っている子どもの見守りを、行政だけでなく民間や学校も一緒に行うのが重要だと思います。現在、神奈川県の平塚市では学校、警察、児童相談所、民間団体が協力した取り組みを行っています。そうすれば児童相談所の職員の負担が減ります。

 また子どもの貧困対策で一番重要なのが学校だとベテラン教師の方々は口々にします。例えば、給食時に子どもがどんな風に振る舞うかで、どんな家庭で育っているかが見えると。お腹を空かせてしょうがないといった振る舞いの子どもは、自宅でまともにご飯を食べていない可能性があります。もちろん中には、食いしん坊な子どももいるでしょうけどね。

 また学校内で元気がなかったり、授業中も上の空といった子どもは虐待されている可能性があるとも言います。虐待が起きている家庭の子どもは基本的に勉強に集中出来ません。なぜなら、そうした家庭の子どもは、人の顔色をうかがい、殴られないようにしようといった生存にすべてのリソースが割かれていることが多いためです。ですから、勉強を一生懸命やることで、将来の夢が叶うといったことが考えられないのです。

 このように学校で子ども達を観察することで、自宅で何が起きているかが見えやすいので、学校と児童相談所が情報をきちんと共有することで、子どもの不幸を未然に防げる可能性があります。

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