前向きに読み解く経済の裏側

2017年3月20日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

長期投資は価格の変化ではなく価値の変化を求めるもの

 会社を設立し、銀行から借金をして材料を仕入れて人を雇って物を作るとします。売値から材料費を差し引いた部分は、企業が生み出した付加価値です。これを銀行の利息、社員の給料、株主の配当(及び値上がり益)の形で配分することは、極めて健全な経済活動です。

 上記の短期株式投資と決定的に異なるのは、価値を生み出していることです。今日と明日で会社の価値(すなわち株券の価値)は変わりませんが、価格は変わります。それに賭けているのが短期投資です。一方の長期投資は、価値を創り出して、その分配に与ろう、という行為なのです。

 もちろん、企業経営にもリスクはありますから、長期投資でも株価が上がるか下がるか、偶然に左右される面は大きいでしょう。しかし、そこまでバクチだと言ってしまうと、世の中のビジネスは全てバクチだということになってしまいます。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」ですから、リスク無しで儲けることはできないからです。

長期投資なら期待値はプラス

 日本経済は、長期的にもあまり成長しないかもしれません。しかし、それでも株式の長期投資は期待値がプラスです。株価の期待値が「現状横這い」だとすれば、配当利回り分だけプラスになるからです。実際には証券会社の手数料がかかりますが、長期投資をしている間の配当で充分に取り戻せるでしょう。また、厳密には機会費用として銀行預金の金利を差し引く必要がありますが、昨今の金融情勢であれば気にする必要はありません。

 以下は余談ですが、人はなぜ、期待値がマイナスと知りながら、カジノでルーレットに興じるのでしょう? 中には霊感を信じている人もいるかもしれませんが、多くの人は「運試し」をしたかったり、あるいは「当たれ」と念じている時のワクワク感を得に行ったりするのでしょう。

 そうだとすると、その意味からも、長期投資はお得です。相場は毎日動きますから、毎日の運試しが無料でできますし、毎日(あるいは毎秒)「上がれ」と念じてワクワクすることができます。

 株式の長期投資は、期待値がプラスで、しかもインフレに強い資産を持つことでインフレリスクへの備えにもなり、加えてカジノで味わえるワクワク感をずっと味わい続けることができるので、大変お得です。「株式投資は怖いから嫌だ」と考える読者もいるでしょうが、カジノへ行くより手軽で安上がりでお得ですよ。是非、トライしてみましょう。

 ただ、筆者の体験だと、「上がれ」と念じている時間が長くなりすぎて、仕事に熱が入らなくなるリスクがあります。その意味では、カジノの方が仕事と休日のメリハリがあって、良いのかも知れませんね(笑)。

  
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