使えない上司・使えない部下

2017年3月22日

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吉田典史 (よしだ・のりふみ)

ジャーナリスト・記者・ライター

ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年から、フリー。
主に、人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。『悶える職場』(光文社)、
震災死』『あの日、「負け組社員」になった…―他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)『封印された震災死』(世界文化社)など。

 海外アーティストと木下サーカスの間に、エージェント(代理人)がいる場合もあります。その場合は、エージェントに「こうしてほしい」とリクエストをすることがいいのです。

 大切なことはどのように伝えたら、アーティストは納得してくれるか……。プライドに傷がつかないか……。喜んで納得していただくか。そこまで考えてアプローチします。

 アーティストが、常に自分のことだけを優先しようとするセルフィッシュな姿勢ならば、私から直接、言うことはあります。サーカスでは皆がチームとなり、ショーを観ていただくのです。「俺が…俺が…」と自分を優先する人は、上手くはいかない。互いに認め合い、支え合う姿勢こそが大切です。

木下社長

共感から生まれる認め合う姿勢

 認め合う姿勢は、1つの経験を一緒にするときの共感から生まれます。木下サーカスでは、テントを設営するときも、スタッフやアーティストが汗をかき、泥まみれになり、力を合わせます。ここに役職はないし、「上」も「下」もありません。互いに信頼できるか、認め合えるか、です。

 結局、「使える、使えない」うんぬん以前に、「respect each other」(互いに尊敬し合う)の姿勢があるか、でしょう。ここが、中枢です。この考えがきちんと浸透していると、チームや会社は動くのです。

 「understand」(理解する)という英語の言葉があります。相手の立ち位置よりも下(アンダー)にいないと、本当の意味で理解はできないということを意味しています。相手を見下ろしているようでは、その人のことを理解はできないでしょうね。

ウィール・オブ・デス

 視座を部下よりも下にすることは、管理職からすると難しいかもしれませんが、ストレスを感じながらもそれをストレスと感じないように、自分を磨かないといけないのでしょう。

大切なのは、「respect each other」

 アーティストからは、我が身を振り返るきっかけを与えられることがあります。「こうしてほしい」と注文を受けると、「なぜ、あのようなことを言ってきたのかな……」と私は考えます。こういう姿勢がないと、人を束ねてチームをつくり、引っ張っていくことは難しいですね。

 私は、40歳前後で先代(兄)の後を継いで社長になりました。当時は、会長(父)が社長をしていた頃から働いてきた社員が多数いました。私よりも年齢が上で、経験が豊富な40~60代です。

 社長になって3年ほどは、「社内苦情処理係」でした。社長が、「俺が社長だ!」と言い始めたら、その時点で終わりでしょう。社員たちは、社長などを実によく見ています。部下は、上司のことを見ているはずです。「この人は自分のことを認め、支えてくれるのかどうか」と観察しているものです。「使えない部下」と言っている姿も、部下から見られていると思ったほうがいいでしょう。

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