WEDGE REPORT

2017年3月24日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

 個人の財産を寄付して作られた設備やプログラムには、その個人の名前が冠されることが多い。ところが、このプロジェクトではチャオさんの個人名は一切冠されていない。運営団体も「百賢亜洲研究院」という名前で、自らは名誉理事長に就任しているだけだ。「名前を付けないというのが私たちの考え方です」とチャオさんは言う。

 というのも、ひとりの力だけではなく、「アジアの未来のリーダーを作る」という理念に賛同する多くの人たちに参画してもらいたいと考えているからだ。多くの人たちが参画したきちんとした組織体にすれば、プロジェクトを永続させていくことが可能になる。

 百賢亜洲研究院の理事長はチャオさんの長女であるロナ・チャオ(曹恵婷)さんが就いているが、理事には外部の人たちが名前を連ね、香港で成功した日本人実業家の名前もある。香港を拠点に「アンテプリマ」などを手掛ける荻野正明・フェニックスグループホールディングス・チェアマンや、高級自動車イタリアフェラーリの日本総代理店などを展開するコーンズ・アンド・カンパニーの渡伸一郎会長である。

 1億米ドルの基金があるといっても、低金利の中で奨学金運営は十分にできるのか。理事長のロナさんは言う。

 「本来は7%の運用益を上げて、5%を奨学金運営に使い、2%は基金に残すという構図を考えていますが、実際には低金利でそこまでの運用益は上がっていません。昨年は2・5%ほどでした。いま、運用戦略の見直しを考えているところです」という。

 100人の奨学生に2万5000米ドルを給付するだけでも250万米ドルが必要になる。当然、研究院の運営費用もかかる。他の財界人からの寄付を受けるなど、基金の規模を大きくすることも課題だ。

未来のアジアのリーダーに必要な資質

 チャオさんが長年の交流で培った人脈もフル稼働している。柳井氏だけでなく、協力する日本の財界人がたくさんいるのだ。

 百賢亜洲研究院の諮問委員会には、麻生泰・麻生セメント会長や渡文明・JXホールディングス名誉顧問、松下正幸・パナソニック副会長らが名前を連ねる。

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