WEDGE REPORT

2017年3月30日

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藤川大樹 (ふじかわひろき)

東京新聞記者

東京外国語大学外国語学部卒業。2004年、中日新聞社入社。中日新聞社東京本社(東京新聞)経済部、外報部などを経て、現在は社会部。近著に『ミャンマー権力闘争 アウンサンスーチー、新政権の攻防』(共著、KADOKAWA)がある。

 一方、NLDは人材不足が顕著で、次の政権を担える生え抜きの人材は見当たらない。元軍事政権幹部でNLD側に寝返ったシュエマンが虎視眈々と「後継」の座を狙う。シュエマン自身は先の総選挙で落選したものの、法務・特別問題検討委員会の委員長という要職に就任。アウンサンスーチーを支える国家顧問府の大臣と副大臣に子飼いの部下を送り込み、政権内での影響力を強めている。

 新政権発足から間もなく1年がたつ。前出の外交関係者は政権の行方を「アウンサンスーチーの人気はまだまだ健在で、低所得者層の中には妄信している人も多い。すぐには政権が大きく揺らぐことはありません。ただ、次の1年で、生活が向上するなど目に見える成果が出なければ、民衆の期待は失望に変わるでしょう」と占う。

 ただ、国民の国軍に対する不信は根強く、仮にNLDが成果を出せなかったからといって、軍系のUSDPが無条件で政権奪還できるかは不透明だ。国軍内にはクーデターをもくろむ勢力もあるとされるが、国際社会との関係を考えれば、現実的ではない。国際的な名声と国民の支持が厚いアウンサンスーチーと、実務能力に長けた国軍。双方が妥協し、「大連立」で政権運営に当たるしか、道はないのかもしれない。(文中敬称略)

※工藤年博(編)『ポスト軍政のミャンマー』(アジア経済研究所、2015年)、長田紀之・中西嘉宏・工藤年博(著)『ミャンマー2015年総選挙』(同、2016年)のほか、ロイター通信、東京新聞、朝日新聞、日経新聞の各紙報道を参考にした。

  
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◆Wedge2017年4月号より

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