科学で斬るスポーツ

2017年3月28日

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玉村 治 (たまむら・おさむ)

スポーツ科学ジャーナリスト、科学ジャーナリスト

小学校より野球をはじめ、大学では投手として活躍。スポーツを科学的に分析することを得意とし、バンクーバー、ロンドン五輪、ワールドカップサッカーなどで取材。

本塁打だけでない巧さを持つ

 どこからでも本塁打ができるということは、ヒットも稼げるということでもある。

 下の図を見て欲しい。

 昨シーズンの筒香のコース別と高さ別の打率である。コース(縦の方向)別(図3の左)は、内角3割4分8厘、真ん中4割6厘、外角は2割9分9厘。右は高さ(横の方向)別で、高め3割5分1厘、真ん中3割7分9厘、低め3割1分2厘(実際の打率3割2分2厘より高くなるのは、打率は三振105個がカウントされるからである)。どこからでもヒットを打てることが一目瞭然である。

図3 昨シーズンの筒香のコース安打数 (提供:フェアプレイ・データ)写真を拡大

 野球選手を評価する時に、統計学的な手法を用いて分析するセイバーメトリクスというものがある。本コラムでも紹介したことがある。

 この中にOPS(On Base Plus Slugging)という評価指標がある。

 OPS=出塁率+長打率で、打者の勝利への貢献度を表す指標として注目されている。

 下の図4は、昨シーズンにおけるセントラル・リーグのOPS上位の3選手である。筒香、山田に加え「神ってる」という流行語になったほど活躍した鈴木誠也(広島東洋カープ)が1を超えている。

図4 2016年シーズンのセ・リーグのOPS上位選手(フェアプレイ・データ提供)写真を拡大

勝利への貢献もリーグ1

 図5は、OPSの評価である。7段階に分けて格付けしてある。0.900以上は最高のAランクであるところを見ると、1を超える筒香ら3選手は超一流の選手と言える。ちなみに、昨シーズンのパシフィック・リーグには、規定打席を達した選手でOPSが1を超えた選手はいなかった。トップは柳田悠岐(福岡ソフトバンク・ホークス)の0.969である。大谷翔平(日本ハムファイターズ)は1.004だったが、規定打席に達しなかった。

図5 OPSの7段階の評価と指標
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 筒香はまだ25歳。WBC後のコメントにあるように、今後も技術は向上していくであろう。過去の大打者のOPSをここで紹介すると、王貞治1.293、落合博満1.244である。これらの歴史に名を残す名選手を超える可能性も秘めている。WBCで学んだことを吸収し、飛躍につなげられるか今シーズンの活躍は楽しみである。

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