赤坂英一の野球丸

2017年3月29日

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 「甲子園のスタンドには1球団に2席ずつ、プロのスカウト用の席が用意されてるんですけど、とてもそれだけでは足りません。とくにすべての高校を見られる1回戦の期間中はスカウトの数が多くて、巨人だけで10人以上も来ています。ヤクルトやDeNAは少ないほうですが、それでも8人はいますからね。そうなると、スカウト席に座れないぼくたちは、朝からファンと一緒に並んで内野自由席のチケットを買うしかないんです。いい席を取るとなると、朝早くここへきて、徹夜組のファンの後ろに並ぶしかない。大体、毎朝4時にはここへ来てますよ」

 朝7時過ぎに来ている私など、スカウトに比べたら〝重役出勤〟もいいところらしい。ちなみに、大挙してやってきたという巨人のスカウトは岡崎郁部長をはじめ、井上真二、木佐貫洋、柏田貴史ら、現役時代には主力として活躍した面々がズラリ。ヤクルトのスカウト陣を率いているのは元監督の小川淳司SD(シニアディレクター)で、こういう顔ぶれが一堂に会するのも高校野球ならではだろう。

 さて、そうしたプロのスカウトが注目し、秋のドラフト最大の目玉と言われている早実の清宮幸太郎はあまりいいところがなく、2回戦で東海大福岡に敗れて姿を消した。プロの現実的な評価はどの程度なのか、別の球団の元編成担当に聞いてみた。

巨人はなんとしても欲しいはず

 「パワーはあるし、雰囲気はあるし、何よりも全国区の人気を誇っている。ほしい球団は多いでしょうね。とくに、阿部慎之助以降、4番を打てる生え抜きの長距離打者が育っていない巨人は何としてもほしいはず。ただ、清宮にどれだけ伸びしろがあるかとなると、はっきり言って未知数です。今大会の打撃を見ていると、むしろ現状でいっぱいいっぱいなんじゃないか、という見方もできる。清宮のライバルで同じ左のスラッガー、履正社の安田尚憲もいまひとつと言わざるを得ない」

 ファンの切実な声が聞かれる一方で、プロのシビアな意見も飛び交う阪神電車。これも高校野球取材の隠し味のひとつ、かな?

  
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