地域再生のキーワード

2017年11月5日

»著者プロフィール
閉じる

磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、東京証券部、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務める。11年からフリーに。熊本学園大学招聘教授。近著に『国際会計基準戦争 完結編』(日経BP社)。

 この日初めてお店を訪れていた小宮哲朗さん、杉崎絢さんは、「どこに行っても同じモノが並んでいるお店ばかりなのに、ここは手作りの色々なモノがあって楽しい」とすっかり気に入った様子。さっそく、自ら手作りした作品を置いてもらう相談を始めた。

初めて来店した小宮哲朗さん、杉崎絢さん

 ローカルで作ったモノをローカルの人たちが買っていく。まさに、ローカルファーストだ。

 淺野さんがお店を開いたのはモノを売買することだけが狙いではない。地域の人たちが気軽に集まることで、地域の交流の拠点を作ることだ。お店にやってきて淺野さんやスタッフの人たちとのおしゃべりを楽しんでいく高齢のお客さんも多い。航空会社のキャビンアテンダントをしていた経験もある淺野さんの、気さくで明るいキャラクターにひかれてやってくる地域の人たちは少なくない。

湘南スタイル研究会

 実は、淺野さんの活躍の背後には、「ローカルファースト」という理念を地域おこしにつなげようと考えた人物がいる。亀井信幸さん。地元の建設会社、亀井工業ホールディングスの社長だ。

亀井信幸さんと淺野さん

 地域の青年会議所の活動から40歳で引退したのを機に、同世代の地域の経営者に呼び掛けて「湘南スタイル研究会」という会合を立ち上げた。2000年のことだ。地域の著名人やキーパーソンを招いて話を聞いていく中で出会った東海大学工学部建築学科の杉本洋文教授から聞いたのが、「ローカルファースト」という考え方だった。

 地元の経営者らと視察に行った米国のポートランドでは、ローカルファーストが定着し商店街が生き生きしている様子を目の当たりにした。若い頃から世界を旅して、欧米先進国では地方都市が元気なことを痛感していた亀井さんは、本当の豊かさとは何かを追求していくうえで、ローカルファーストの考え方が、地元湘南だけでなく、日本にももっと広がるべきではないか、と考えた。そして、ローカルファースト研究会を立ち上げたのだ。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る