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2017年11月26日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、東京証券部、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務める。11年からフリーに。熊本学園大学招聘教授。近著に『国際会計基準戦争 完結編』(日経BP社)。

銀座に出店

 最近、河野社長は全国で「良い物」を作ったり、扱ったりしている人たちとのネットワークづくりに力を入れている。高知県の四万十川中流で町おこしを行う畦地履正さんの声掛けでスタートした「あしもと逸品プロジェクト」の中核メンバーなのだ。そんなネットワークから新たな商品も生まれている。

せんべいの原料となるお米

 畦地さんは四万十の栗やコメ、紅茶など「良い物」を育て、全国に売り出している。さっそく、四万十町でとれる「かおり米」を使い、山香煎餅がOEM受注してせんべいに仕立てた。「かおり米せんべい」は草加せんべいスタイルではなく、油で揚げたせんべいだが、これも山香煎餅が長年培ってきた技術。草加せんべいの技術が全国各地の地域の特産品づくりに生きている。

 今、山香煎餅では、次なる挑戦を準備している。地域で磨いた「草加せんべい」ブランドで、「打って出る」計画だ。来年1月22日に東京銀座の中心に「草加せんべい」の店を出す予定だ。

せんべい焼き体験を楽しむ笑顔の斉藤さんご家族

 銀座には東京の名だたる煎餅店が店を構える。そこにあえて「草加せんべい」で打って出るのだ。小さな店舗のため、手焼き体験などのコーナーは作れないが、タブレット端末を置いて、手焼きの草加せんべいのストーリーなどをアピールするつもりだという。

 また、季節感も大切にしていく。和菓子では四季折々に商品が変わるが、せんべいにはなかなか変化がない。春には山菜味、夏はカレー味、秋はさつまいも味、といった季節商品にも力をいれ、新しい需要を掘り起こしていく。

 かつては、関東を中心に「進物」といえば「せんべい」というのが定番のひとつだった。銀座という消費の最先端の場所で、せんべいを巡る消費者の嗜好をどう捉えていくか。おそらく「草加せんべい」にまったく新しい価値を加えることになるのだろう。
(写真・生津勝隆 Masataka Namazu)

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