地域再生のキーワード

2017年12月3日

»著者プロフィール
閉じる

磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、東京証券部、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務める。11年からフリーに。熊本学園大学招聘教授。近著に『国際会計基準戦争 完結編』(日経BP社)。

 

環境の島

 もう一つ大きな狙いにしているのが「環境」。佐渡は、日本においていったんは絶滅したトキを復活させるために、農薬をなるべく使わない農法を広げるなど、「環境の島」を目指している。学校蔵では、「オール佐渡産」を掲げ、酒米は佐渡産の越淡麗を100%使用、もちろん水も佐渡の水を使っている。

炊き上がりを待つ蔵人

 また、製造にかかる電力を佐渡産の自然エネルギーで賄うことを狙っており、学校のプール跡に太陽光パネルを設置、発電を始めた。運動場跡地にも増設中で、将来はすべて再生可能エネルギーで酒造りする計画だ。

 「もうターゲティングは止めました」と尾畑さんは言う。狙うべき顧客の属性を決めて商品開発や宣伝広告するマーケティングの一般的な手法で、規模拡大を狙うのならば必ず採用するといわれるものだ。そうではなく、自分たちが作りたいものを作りたい方法で作るというのである。

 
ものづくりを通じて交流する芝浦工業大学の学生達が作った机と椅子と行灯(上、下)

 尾畑酒蔵のモットーは「四宝和醸」。四つの宝とは酒造りに不可欠な「米」「水」「人」の3つに、「佐渡」を加えた4つ。

 その和をもって醸すという意味だ。佐渡ならではの原材料を使い、佐渡の良さを知ってもらえば、ふるさとの活性化につながっていく。「酒造りは地域創り」というわけだ。

 尾畑さんは、国際化の波によって、日本らしさの追求が進むことで、農業が振興され、それが地域の活力につながっていくという循環を考えている。というのも、酒蔵に戻っていつか取り組みたいと思っていたのが、海外市場の開拓だったからだ。

関連記事

新着記事

»もっと見る