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2017年12月3日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

 

 

 03年から直接取引に乗り出し、07年には英国ロンドンで開かれた「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」の日本酒部門で金賞に選ばれた。その時、「日本酒には個性となる物語が欠けている」と感じたという。ワインなら畑やブドウ、樽にいたるまでストーリーがある。もっと日本酒に個性があってもいい、と考えたのだという。

スペイン・バスクからの視察団

 それが学校蔵での、徹底して「佐渡産」にこだわる酒造りにつながっているのだろう。国際化で日本の良いものに磨きがかかれば、農業も地域も活性化する。父の代から続く観光客向けの酒蔵見学には外国人の姿がぐんと増えた。取材当日もスペイン・バスク地方からの視察団が学校蔵や本社を訪れていた。

物語の共感者を増やす

 そんな尾畑さんが取り組む「物語」への共感者は間違いなく増えている。SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)でのつながりも広がっている。学校蔵を訪れた人たちは間違いなく皆、佐渡のファンになり、尾畑さんの応援団になっていく。繰り返し訪れて、佐渡の各地を訪ね、食材を楽しむようになれば、いずれは佐渡全体にその効果が広がっていくというわけだ。

 「世代をつなぐ酒造りがしたい」と尾畑さんは言う。おじいちゃんと女子大生が酒瓶をはさんで向かい合うような交流。そんな人と人の「和」を醸すことで、地域が元気になっていくことを尾畑さんは考えているのだろう。それこそ本来の酒の役割だったのかもしれない。

酒蔵から上がる米を炊く蒸気

(写真・生津勝隆 Masataka Namazu)

  

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◆Wedge2017年1月号より

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