BBC News

2017年3月30日

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「英国は9カ月たって、やると言っていたことをやった」。ドナルド・トゥスク欧州理事会議長は29日、ブレグジット(英国の欧州連合離脱)を発動すると通知するテリーザ・メイ英首相の手紙を受け取った後、ブリュッセルで記者会見し、このように述べた。

トゥスク議長はきわめて残念そうな口調で、ブリュッセルでもロンドンでも「今日が嬉しい日だなどと、そんなふりをする理由は何もない」と発言し、離脱通知の手紙を手に「皆さんがいなくなって、もうすでにさびしい」と述べた。

その一方で、ブレグジットにも「良い側面はある」と議長は続け、英国離脱のおかげでむしろ欧州連合(EU)に残る他の加盟国27カ国の結束と決意は強くなったと評価した。

欧州議会のアントニオ・タヤーニ議長も同様に、無念の思いをツイート。「今日は良い日ではない。ブレグジットは我々の連合の歴史にとって、新しい章を意味する。しかし我々は用意ができている。前に進み、英国が今後も親しいパートナーでいることを期待する」と議長は書いた。

タヤーニ議長は後にさらに、英国が考えを変えた場合について言及。それには全ての加盟国が、離脱交渉の中止に合意しなくてはならないと説明した。

ジャン=クロード・ユンケル欧州委員会委員長はマルタで会見し、「悲しい日だ」と述べた。

フランソワ・オランド仏大統領は訪問先のインドネシアで会見し、ブレグジットは欧州にとって「気持ちの上でつらい」ことだが、英国にとっては「経済的につらい」ことになると指摘。ただし、離脱するという「主義主張」について英国に「罰を与える」つもりはないと付け足した。

「英国と欧州の間に貿易協定を結んで終わる。それが最善の貿易協定になることを期待している」とオランド氏はさらに述べた。

アンゲラ・メルケル独首相はベルリンで会見し、事態を淡々と受け止めている様子を見せた。ドイツも他のEU加盟国も「もちろんこの日が来るのを望んでいなかった。強力で重要な加盟国を失うのだから。しかし当然ながら、英国の有権者の民主的判断を受け入れる」と首相は述べた。

メルケル氏はさらに、英国とEUの将来的な関係について話し合う前に、まずは英国のEUに対する権利義務関係を解消しなくてはならないと言明した。同時並行の交渉を求めるメイ首相の意向に、反対する形となった。

独首相はさらに、英国内で暮らすEU市民保護の必要性を強調した。

独中道右派の欧州人民党(EPP)の欧州議会会派を率いるマンフレート・ウェーバー氏は、首相よりも英国に対して批判的で、ブレグジットを推進した英政治家たちは自由で開かれた欧州で育ったにもかかわらず、自分たちは欧州に壁を建てようとしていると述べた。

「英国を留まらせるため、EUはできることを全てしてきた。これからの私たちは、残る4億4000万人の欧州人の利益のことだけを考える」とウェーバー氏はツイートした

マルタのジョセフ・マスカット首相は、メイ首相の手紙が今後の貿易協定と安全保障協力を関連付けたことに懸念を示した。

首都バレッタで会見したマスカット首相は、「私たちは同じ家族の一員だ。最終的に何がどうなろうと、テロと戦い、安全保障を強化するため努力していくべきだ」と述べた。

フランスの極右政党「国民戦線」(NF)のマリオン・マレシャル=ル・ペン議員は、英国の動きには称賛しかないと評価。「英国の人たちは自由を再発見した」とツイートし、NFもフランス国民に独立の機会を提供すると主張した。

フランス大統領選に出馬している中道派のエマニュエル・マクロン氏は、英国とEUが特に防衛分野で緊密な関係を維持する必要があると述べた。

ロンドンのサディク・カーン市長との会談後に発言したマクロン氏は、ロンドンには約20万人のフランス国民が住んでいると指摘。

「国に戻る人もいるでしょう。喜んでまた迎え入れます」とマクロン氏は英語で話した。「しかしもちろん私たちは、英国と協力し、ロンドンで暮らす(フランス人の扱いについては)ロンドンと協力します」。

「なんでも思うようにはならない」

オランダのベルト・クンデルス外相は、EU内にいるより外に出た方が英国にとって有利な取り引きができることはあり得ないと言明した。

外相はBBCに対して、英国と「泥沼離婚」をしたくはない、「支払うべきものは払われ、(オランダ国民は)きちんとした扱いを受ける」別離が好ましいと述べた。

その上で外相は、「けれども、何でもかんでも思うようにはならないし、英国政府もそれは分かっているはずだと思う」と釘を刺した。

スペインのマリアーノ・ラホイ首相は、投資家にとっての不安定要素を最小化することが、自分の優先課題だと述べた。

オーストリアのクリスティアン・ケルン首相は、英国に住むオーストリア人2万5000人の地位と権利を明確にすることが、優先事項だと話した。

ポルトガルのマルセロ・レベロデソウザ大統領は、英国は「今後も欧州の国であり続ける。旧大陸の平和と安全の支柱であり、欧州と欧州人の文化と経済の指標であり続ける」と述べた。

アイルランド政府は、北アイルランドと国境開放を含む平和合意の内容を維持し、英国との間の自由移動を認める「共通旅行区域(CTA)」制度を継続することが、自分たちにとっての優先事項だと表明した。

「離婚は辛い」 欧州紙の反応

ブレグジットの手続きが始まり、欧州の新聞各紙は一様に、悲観的な論調を掲げた。

ドイツの中道右派紙フランクフルター・アルゲマイネは、英議会広場で沈痛な表情を見せるウィンストン・チャーチル像の写真に「離婚は辛い」というキャプションを載せた。

同紙のラルフ・ボルマン経済担当編集委員は、EU有数の経済大国を失うのは「世界におけるドイツの発言力低下にもつながる」と指摘。ただし、「ブリュッセルと友好的な取り引きができるか不透明な状況」では、巨額の財政赤字を抱える英国の方が失うものが大きいと書いた。

フランスの中道左派紙ル・モンドは、「破局の影響」と見出しを掲げて英国の政局を分析。野党・労働党の「衰退」のおかげでメイ首相は強い立場から出発できたが、「在外住民の扱い、単一市場へのアクセス、国境管理」などをめぐり複雑な交渉が待っていると書いた。

イタリア紙コリエーレ・デッラ・セラは、「ブレグジットは始まったが壁はない」と書き、「域内移動にあらかじめ天井を設けるより、分野ごとに判断していく」だろうと交渉に先行きについて見通しを示した。

ポーランド紙ガゼータ・ビボルジャのロンドン特派員は、「未知の領域への旅」の始まりだと書いた。同紙の報道は英国で働くポーランド人の今後に注力し、スコットランドが独立の是非を問う2度目の住民投票を実施するかどうかの記事も、「ポーランド移民にとっての意味は?」という書き出しで始まった。

(英語記事 EU leaders react as UK PM Theresa May officially triggers Brexit

提供元:http://www.bbc.com/japanese/39440248

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