こんな子 こんな時 こんな絵本

2010年6月17日

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安冨ゆかり (やすとみ・ゆかり)

JPIC読書アドバイザー

JPIC(財団法人出版文化産業振興財団)読書アドバイザー。一女の母になったことから絵本の世界へ。書店や病院などでの読みきかせ、おはなし会で、子どもたちと絵本の世界を楽しみ、各種イベント・講習会など、絵本や読みきかせの楽しさを伝える活動にも参加している。別冊太陽「心をつなぐ読みきかせ絵本100」「続・心をつなぐ読みきかせ絵本100」(平凡社)執筆メンバー。

 こんにちは、安冨ゆかりです。わが子と読みきかせを楽しむ時期は過ぎましたが、今も書店や病院、イベント会場などでの読みきかせ活動を通して、絵本の世界を子どもたちと一緒に愉しんでいます。

 そんな中、自分の子育て中に出会いたかった・・・と思う本やこんな風に読めばよかったと、今更気がつくことも度々です。絵本の楽しみ方を広げるヒントとして、「こんな子」や「こんな時」を想定して絵本をご紹介していこうと思うこのシリーズ。今回は、生きていくために不可欠な食べ物ですが、好き嫌いが多い場合どうする? がテーマです。

好き嫌いがなくなるかも?

 肉、魚、野菜、果物、お菓子など、子どもたちに「食べ物の好き嫌い」を尋ねると野菜は好まれず、中でもピーマンがトップになるようです。調査によって順位の違いはあっても、タマネギ、にんじん、トマトも上位に入る常連たち。この結果は、昔も今も、あまり変わらないように思います。

『ピーマン にんじん たまねぎ トマト!』(文化出版局) 平田昌広 著・平田景 イラスト

  そして、昔も今も、大人たちは言います。「好き嫌いを言わないで、何でも食べなさい。」そんなこと言ったって、食べられないものは食べられない、嫌いなものは嫌い!食卓を挟んでの、「食べなさい」「食べない」の攻防は、どこの家庭でも見られる光景でしょう。

 でも、『ピーマンにんじんたまねぎトマト!』(文化出版局)に登場するお父さんは、ちょっと違います。「おとうさんがつくったりょうりなら やさいだって いっぱいたべられるよ」と言ったゆうちゃんに、「そのことばに うそはあるまいな」と、お父さんが料理することを宣言。一緒に買い物に出かける事からはじめて、特別スープを作ってくれました。ゆうちゃんが「ぜったいだめ」と言っていたトマトも入ったこのスープ。一口飲んで、ゆうちゃんは何と言ったでしょう。

 条件反射というのでしょうか、トマトが嫌いな人は、「トマト」と聞いただけで、その匂いや味を思い出して食べられないのだと思います。では、トマトをはじめ、にんじんやピーマンが姿形は同じでも、別の呼び名だったらどうでしょう。

トマトは「まんげつぶちゅっと」?

 『ぜったいたべないからね』(フレーベル館)は、チョ~が付くほど生意気で、好き嫌いの多い妹に対して、智恵を絞った作戦で誘導する、それは面倒みのよいお兄ちゃんの話です。「食べなくたっていいんだよ。でも、もったいないなぁ~」と、言葉巧みに誘うその姿は大人顔負けで、これは見習わなければ・・・と思わせるのに十分です。しかしこの作戦、実行する場合には、親のセンスが成功の鍵を握っているように思われます。

『ぜったい食べないからね』(フレーベル館) ローレン・チャイルド 著・木坂涼 翻訳      妹の嫌いな食べ物に、ある工夫を施したお兄ちゃんのセンスと優しさに脱帽。同じ内容のしかけ絵本バージョンもある。

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