特別対談企画「出口さんの学び舎」

2017年4月25日

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「人、本、旅以外、人間が賢くなる方法はありません」

出口:知性的であるとはどういうことか。僕はいつも、「人、本、旅」と言っているんです。いろいろな人に会って教えてもらうこと。自分で本を読むこと。世界中を歩き回って、体で体験して刺激を受けること。人、本、旅以外、人間が賢くなる方法はないと思っています。何のためかといえば、自分で考え、自分の言葉で自分の思いを表現することに尽きる。知性的であるとはそういうスタンスを持ち続け、学び続けることだと思うんです。

出口治明さん

森本:人、本、旅というのは、結局自分の知らないものに会うこと。自分の知らない世界に身を置いてみる、ということですよね。

出口:そうです。

森本:大学もそうあるべきです。今の日本社会では、大学に入ってくる学生はみな同質です。トップの大学は、同じトップの高校から何十人何百人と入っていく。同じ人たちばかりと会っているわけです。そうすると、異質なものに出会うチャンスがありません。

 僕は、アメリカの大学の学生選びを見ているのですが、点数を0.1刻みに並べて上から順に採るなんていうことは絶対にしません。このグループから何人か採って、そうではないところからも採って、経済的な背景や人種の違いなど、いろいろなことを考え合わせながら一人一人を見て採るんですね。

出口:一種のクオーター制ですね。

森本:それから、「レガシー」というのですが、親や祖父母が同じ学校の卒業生など、伝統も大事にしています。日本でそんなことをしたら「不正行為」だ「裏口入学」だって言われると思いますが。

出口:入学者が100人いるなら、たとえば6割は点数通り、あとは推薦入学とか、枠をつくって意識的にダイバーシティはつくったほうがいい。互いに刺激を受けますから。

森本:その通りです。一緒に学んでいる教室に異質な人がいるだけで、大きな学びがあります。そういうことをアメリカは昔から知っているのですが、日本の大学はいつまでもそういうことをやりません。

出口:僕は、アズハル(アル=アズハル大学)の3信条が大好きなんです。世界で一番古いカイロにある大学で、創立は970年。ボローニャ大学よりも古いんです。3信条とは、「入学随時」――勉強したいと思ったらいつでも来てください。「受講も随時」――自分の好きな、知りたいと思う講義だけ受けてください。「退学も随時」――自分で疑問が解けて、勉強したいことがわかったらいつでもやめて結構です。すごくイージーな理念なんですが、大学の理想だという気がしています。

森本:それで学費は払ってくれるんですか?

出口:学費は自分で払います。大して高くはないと聞きました。

森本:安心しました(笑)。

出口:モスクに付随した、連綿として続く世界最古の大学です。多くの人はヨーロッパのことしか見ないので、ボローニャ大学やパリ大学の名前が上がりますが、アズハルの3信条は大学の基本だと思います。

森本:日本の制度だとはじめから定員が決まっていて、そこで4年間過ごさせて、卒業させればいい。トコロテン方式で、教える方も楽ですが、学ぶ広がりがありません。

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