BBC News

2017年4月14日

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米ユナイテッド航空に無理やり降機させられたベトナム系米国人の男性乗客が、ベトナム戦争中の経験より「恐ろしかった」と話していることが明らかになった。家族と弁護士が13日、シカゴで記者会見した。

被害に遭ったケンタッキー州在住のデイビッド・ダオ医師(69)の弁護士によると、ダオ医師は前歯2本を失ったほか、鼻を骨折し、「かなりの」脳震盪(のうしんとう)を起こした。ユナイテッド航空を訴える方針だという。

トマス・デメトリオ弁護士は会見で、「(ダオ医師は)1975年のサイゴン陥落でベトナムを離れ、ボートで脱出して、恐ろしい思いをしたと話している。しかし、通路を引きずられたのは、ベトナムを出る時の経験よりも恐ろしく衝撃的だったそうだ」と明らかにした。

医師の娘のクリスタル・ダオ・ペッパーさんは、「私のお父さんに起きたことは、どんな状況であれ、どんな人間にも起きてはならない。父がどんな目に遭ったのか知り、そしてその様子を目の当たりにして、私たちは恐ろしくて、ショックで、気分が悪くなるほどだった」と話した。

ダオ医師の弁護人は12日、証拠保全の申し立てをイリノイ州の地裁に起こした。ユナイテッド航空とシカゴ市に、問題のあった3411便に関連するすべての防犯ビデオや操縦室の録音音声、乗客や乗務員名簿などの保全を命令するよう求めている。17日に口頭弁論が行われる予定。

シカゴ市内の病院に入院していたダオ医師は、12日夜に退院したものの、骨折した鼻などの形成手術を受ける予定という。

デメトリオ弁護士たちは、ダオ医師の家族も自分たちもまだユナイテッド航空から何の連絡も受けていないと話した。

ユナイテッド航空は、3411便の乗客に連絡をとっていると発表。オスカー・ムニョス最高経営責任者(CEO)が「ダオ医師にたびたび電話し、私たちの心からの深い謝罪の気持ちを伝えている」と説明している。また乗客全員の航空券代を払い戻す方針を示している。


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ユナイテッド航空によると、9日夜のシカゴ発ケンタッキー州ルイビル行の3411便は、満員状態だった。翌日にルイビルで勤務する必要があった社員4人を搭乗させるため、4人分の客席を確保しようとした。同航空は当初、ツイッターの公式アカウントなどで、定員超過のオーバーブッキング状態だったと説明していた。

航空会社に選ばれた3人は降機に同意したが、目撃者のツイートによると、ダオ医師は翌日病院で診察する必要があるからと降機を拒否。航空会社が呼んだシカゴ航空当局の係官3人としばらくやりとりした後、強制的に引きずりおろされた。

複数の乗客が撮影した動画からは、その際にダオ医師が座席に顔をぶつける様子や、メガネがずれて口から血を流している様子が見てとれる。

デメトリオ弁護士は記者会見で、「もう長いこと航空会社は、特にユナイテッドは、私たちに横暴な態度をとってきた」と非難。「私たちは敬意を払ってもらいたい、尊厳を守ってもらいたい、それだけだ! そんなに大変なことじゃない」と強調した。

弁護士はさらに、ダオ医師について黒人公民権運動におけるローザ・パークスさんの「現代のアジア版」と呼ぶメールを受け取ったと話しつつも、今回の問題でダオ医師の人種が影響していたとは思わないと述べた。

ユナイテッド航空は、ダオ医師側の訴訟の構えについてコメントしていない。

ムニョスCEOは12日、ABCニュースのインタビューで、「恥ずかしい思いだ」と述べ、二度と同じような事態は再発させないと表明。「誰だろうとあのような扱いを受けるべきではない」と述べた。

しかしこれに先立ち社内向けメールではダオ医師が「騒いでけんか腰だった」などと書いていたことが発覚し、非難されていた。

ムニョスCEOの辞任を求めるオンライン署名には15万人以上が賛同しているが、ムニョス氏は辞任するつもりはないと話している。

(英語記事 United Airlines passenger ordeal 'worse than fall of Saigon'

提供元:http://www.bbc.com/japanese/39597590

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