使えない上司・使えない部下

2017年4月20日

»著者プロフィール
閉じる

吉田典史 (よしだ・のりふみ)

ジャーナリスト・記者・ライター

ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年から、フリー。
主に、人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。『悶える職場』(光文社)、
震災死』『あの日、「負け組社員」になった…―他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)『封印された震災死』(世界文化社)など。

社長が自分は優秀ではない、と認めること

安田佳生氏

 中小企業で「使える社員」を育成しようとするならば、社長が「自分は優秀ではない」と認めることが第1歩です。自らの力を客観視できない人が、創業することが多いのです。創業社長は得てしてバランス感覚が悪く、何かが欠落している。その偏りがあるからこそ、起業ができるのでしょうけれど。

 冷静に考えると、そんな商品が売れるわけがないのに、「売れる」と信じ込んで20年くらい続ける人がいるのです。何かのきっかけで、運よく売れることがあります。私も、そのタイプでした。

 高学歴で、バランス感覚に優れた人の多くは創業しません。市場をきちんと分析すれば、創業したところでうまくいく確率が低い、とわかるはずです。創業は、ギャンブルみたいなものであることをきちんと心得ているのです。

 管理職でいえば、自分が指示したとおりに仕事をするのが、「使える部下」だと思っている人はツライでしょうね。管理職になったとしても、部下をもたない上司になっていかざるを得ない。プレイング・マネージャーをすることはできないと思います。

 そもそも、「上司になりたい」と思う人は、上司には向いていません。そのような人は、部下を自分の思い通りに動かしたいだけ。部下は、秘書ではないのですから……。こんな人は、自分のやり方などを押しつけて、それができないと「使えない部下」とみます。

 ほとんどの人は、9割のことができないものです。だけど、1割はできる。それを見抜き、生かし、いかに業績を上げるか。そこに上司の仕事があり、おもしろさもあるはずです。その発想がない。

 上司に向いていないはずの人がなぜ、上司になるのか……。その人たちは、プレイヤーとして、ある程度の業績を上げたからでしょう。しかし、プレイヤーとして仕事ができる人が、部下の業績を上げることができるとは限らないのです。

 会社を経営する立場からすると、そんな人でも上司にせざるを得ない。プレイヤーとして優秀でない人に、部下をたくさんつけるのは、組織としては難しいのです。

 ほとんどの会社ははじめに仕事があり、新卒にしろ、中途にしろ、それができる人を募集し、採用します。これでは入社後、その仕事ができない人が現れるのは当然です。本来、自分の得意なことを生かしていくのが、仕事なのです。

 ところが、会社に雇われ、適性のない仕事もせざるを得ない。雇われることそのものを「仕事」と見ることもあります。これらは、私には異常な考え方に見えます。

 結局、人を採用し、育成することに、もう、疲れたのです。だから、今の会社「ブランドファーマーズ・インク」では、社員を「採用しない・育成しない・管理しない」を経営方針にしています。

 毎月、正社員に給料を払い続けるためには、その人に向いていない仕事をさせなければいけない。それが、嫌になってきたのです。私は「正社員撲滅派」で、正社員という雇用形態がなくなればいいと思っているのです。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る