中島厚志が読み解く「激動の経済」

2009年2月20日

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中島厚志 (なかじま・あつし)

経済産業研究所理事長

1952年生まれ。東京都出身。東大法学部卒業後、75年日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。パリ興銀社長、日本興業銀行調査部長、みずほ総合研究所専務執行役員チーフエコノミストなどを経て現職。著書に『統計で読み解く日本経済 最強の成長戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『日本の突破口―経済停滞の原因は国民意識にあり』『世界経済連鎖する危機―「金融危機」「世界同時不況」の行方を読む』(東洋経済新報社)など。

 2月16日に発表された2008年10~12月期GDPは、年率換算で前期比▲12.7%と、第一次オイルショック時の1974年1~3月期(同13.1%)に次ぐ戦後2番目の悪化となった。「戦後最大の経済危機」(与謝野馨経済財政担当相)を危惧する声が強まっている。

先進国の景気悪化は新興国の経済成長に影響を与えないというデカップリング論は破綻した。

 1月28日にIMFが発表した最新の世界経済見通しによると、09年の世界経済成長率は0.5%まで落ち込み(08年11月の見通 しでは2.2%)、第二次世界大戦以降最悪の成長率になるとしている。また、主要国の成長率を見ても際立って悪い数値が並んでいる。米国は▲1.6%、ユーロ圏は▲2.0%、そして日本は▲2.6%である。

 この記録的に悪い日米欧の成長率を見て、足元の主要国の積極的な財政金融政策は織り込まれているか、と疑問を持つ向きもあろう。特に、米国では、オバマ新大統領が7,870億ドルに上る経済対策を打ち出しており、新エネルギー・環境分野での次世代産業の育成を目指すグリーン・ニューディール政策が注目され てもいる。また、欧州ではEU委員会が加盟国にGDP比1.2%の経済対策を求めており、現在平均0.85%相当の対策が出てきている状況にもある。

 しかし、これらの対策を踏まえた上でも09年の世界経済成長率は大きなマイナスというのがIMFの見通しである。その理由はいくつかある。ひとつは、深刻な金融危機が続いており、企業や個人の資金調達を難しくしていることである。例えば、米国での自動車販売の急落の一因は、買いたくとも自動車ローンを組め ないことにある。また、資源価格の急落が資源国の成長に急ブレーキを掛けているし、賃金雇用情勢が厳しさを増していることが、世界の需要を急減させてもい る。そして、販売低迷が企業の減産や投資、雇用の削減を促し、それがさらなる需要減少を招く悪循環にもなっている。

悪化が大きい消費者マインド

 世界的な景気悪化の中で、見逃せないのが消費者マインドの悪化である。確かに、需要減退や雇用環境の悪化は急であるが、消費者の手元にあるお金が 使われなくなり、より貯蓄に回っているのも事実である。例えば、米国の消費者マインドを示すカンファレンスボード信頼感指数を見ると、09年1月37.7 となって1967年の統計開始以来最低の数字であるし、日本の消費者態度指数も09年1月26.4(一般世帯、原数値)となって、指数が比較できる 1982年以来最低の数字となった08年12月(26.2)に次ぐ低水準となっている。

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