2024年4月20日(土)

古希バックパッカー海外放浪記

2017年5月14日

 イリノイ、ミズーリ、オクラホマなどの穀倉地帯ではトウモロコシや小麦を集積する巨大サイロに鉄道支線が延びて穀物専用貨車がサイロの真下で穀物を充填している。

オクラホマ州のルート66旧道沿いに並んでいる小麦の出荷用サイロ。周辺農家の小型サイロからトラックで集荷された小麦は出荷用サイロに集積されてから貨車に搭載されて大都市まで鉄道輸送される

 テキサスやニューメキシコの放牧地帯の停車場では付近の牧場からトラックで集められた牛の群れが貨車の到着を待っている。鉄道輸送が一般化する前はカウボーイが牛の群れを追って何か月もかけて中西部の牧場から市場のある都会までロングドライブしていたのである。

 その他に鉄道貨物で多いのは石油、石炭、鉱石などである。これら鉱物資源は運搬ロットが大きく150両以上ものタンクローリーや無蓋貨車が1マイル以上も延々と続く。 

フォートワースの昔の畜産取引所(現在は観光名所)と引込線。昔は現物の牛を取引所で競売。そのあと貨車に乗せられて消費地に送られた

「列車に乗るのは暇なお年寄りの観光客だけですよ」

 4月30日(土)アリゾナ州のルート66における中心都市Flagstaffのあたりはルート66とサンタフェ鉄道が並行して走っている。サンタフェ鉄道の駅舎が観光案内所も兼ねている。駅舎の中でふと時刻表を見ると東海岸方面(east bound)、西海岸方面(west bound)が一日一本づつ停車するようだ。駅員に聞くとグランドキャニオン観光を兼ねて利用する乗客が多いようだ。客車はアムトラック(AM Truck)が運営しているとのこと。貨物列車は24時間頻繁に運行しており平均すると毎時3~5便が通過しているという。サンタフェ鉄道は中西部の大動脈である。

テキサス平原を進む延々と連なる家畜(牛)輸送専用貨車

 アムトラックは全米鉄道旅客公社(National Railway Passenger Corporation)という合衆国政府が出資する全米を結ぶ旅客列車運営公社である。観光案内所の女性と雑談していたら「中西部では旅客は普通飛行機を利用するわ。お金がない人は長距離バスに乗るわね。列車に乗るのはお年寄りの暇な観光客だけじゃないのかしら」とのご託宣。

貨車での出荷を待つ牛の大群。貨車での輸送に耐えられるように配合飼料を与えられのんびりと過ごしている

村の手作り博物館に見る栄枯盛衰

 5月4日(水)アリゾナ州のAsh Forkはかなり寂れた村である。ルート66旧道沿いの町は昔栄えたが今は盛時を偲ぶ産業遺産だけがかろうじて残っているところが多い。午後3時半頃到着。村には雑貨屋的スーパーが一軒、食堂兼バーが一軒、営業しているモーテルが二軒だけだ。他方で廃屋と化したモーテルや食堂が数十軒並んでいた。

Ash Forkの町営博物館でくつろぐオジサン

 村外れに鉄道の修理ガレージを改装したミュージアムがあり中を覗くと暇そうなオバサンと高校生が二人。彼らはボランティアで町おこしのためにミュージアムを運営しているという。オバサンによるとAsh Forkは現在人口600人、隣村を合わせても1000人足らず。最盛時は1920年代。サンタフェ鉄道支線の分岐点として非常に大きな駅舎と倉庫が建設された。しかしその後高速道路(インターステートハイウェイ#40)が建設されると取扱貨物が激減。固定資産税が重荷となったのでサンタフェ鉄道会社は1968年に駅舎と倉庫を爆破。現在は一日三便の貨物列車が通過するだけ。


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