2024年4月25日(木)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2017年4月26日

 エルミタージュに入場して何となく不審な3人組が入口階段で後をついてきたのがふと目に留まった。女2人と男1人の3人組であった。左の外ポケットに入れていたスマホの充電コードが知らないうちにポケットから出ていてそのコードが引っ張られたのである。気が付くと3人組は知らんふりをして踵を返してあっという間に消えてしまった。

 その後、204号室で夢中になって「黄金の孔雀時計」を撮影して次の展示室でスマホを取り出そうとポケットに手を突っ込んだらスマホは跡形もなく消えていたのだ。しかし、どの瞬間に抜き取られたのかは全く気が付かなかった。

 そして、まず初動が大事だと思い館内の保安係に連絡を取った。日本語通訳のエカテリナさんが親切にも保安係を連れてきてくれた。館内には監視カメラがあるのでチェックしてくれたようだ。同時にロシア人の友人に連絡を取り次善策を練ることにした。取引先のビクトール氏がまず盗難保険が付保されているかを聞くので「当然、旅行保険は入っている」と言ったら、「それは良かった、では事故証明さえとっておけば問題はない」と、あたかも一件落着のように答えた。「僕も月に3回盗られたよ」と慰めにもならないロシアの治安の悪さを説明してくれた。

警察と美術館の保安係に時間を取りすぎた、30分で30万円

 盗難が発生したのは昼の12時半だった。ホテルに戻り1時間半後(2時過ぎ)に日本のクレジットカード会社にカードの使用差し止めを電話で連絡した。この1時間半が窃盗団にとっては思う壺だった。

 マスターカードに連絡して驚いた。カードの差し止めは直ぐにできたが、すでにカードは使われていたというのだ。わずか1時間半の間だがカード会社によると失くしてから15分後には、約7万円、14万円、12万円と使われており4回目の18万円の引き出しでカード会社は不審に思い取引停止したと聞いた。しかも引き出し時間を聞いたところどのカードも紛失後の30分以内に使用されたと聞いて驚いた。

 後になってもう一度驚いたのは引き出し場所がマレーシアだったというのだ。パスワードとサインがなくても窃盗団の手にかかったら現金化(引き出し)は可能だとのことである。ロシアではカードが紛失して現金が引き出されるのはベトナムやマレーシアやタイが多いらしい。素人には理解できないが犯行後、カードを写して東南アジアにスマホで送りカードを偽造するのだろうとロシア人たちは分析していた。

 カードは3枚とも使われておりどのカードも約30万円前後が引き出されていたとのことだ。カード会社には帰国してから紛失届を出したが連絡が早かったので何れもカード会社の負担となり僕への請求はしないで済むことになったので実質的な損失は紛失したスマホだけであった。しかし時間のロスとクレジットカードなしと携帯電話のない生活が如何に不便かということを痛感した次第であった。

狙われるのは決まって日本人とある北欧の国らしい

 ロシアの警察の話では狙われるのは決まっていて、一番多いのがやはり日本人ということだった。日本人は落ち着きがなくキョロキョロしているので直ぐ分かるとのことのようだ。無防備で「置き引き」「スリ」「ひったくり」「列車内の盗難」「イベント型盗難」に遭いやすいのは日本人の次にスウェーデン人だとロシアのサンクトペテルブルグでは聞いた。昔はアメリカ人と日本人だと相場は決まっていたが最近はスウェーデン人が狙われているとのことである。その理由は分からないがスウェーデンはロシアに近く、夏場の旅行客に金持ちが多いということなのだろうか?

中国人や韓国人のケース

 中国人や韓国人はどうかといえば皆無ではないものの日本人のように無防備な観光客はいないとの話を聞いた。例えば、日本に多い振り込め詐欺などを中国や韓国では聞いたことはないから日本人ほど「平和ボケ」ではないのだろう。逆に中国に行ったときに聞く犯罪は老人をカモにした窃盗や詐欺行為が多いと聞く。例えば中国人は年寄りに親切にして偽薬(ニセの漢方薬)を売りつける話は枚挙にいとまがない。こうして何度も騙されるお年寄りは高価な医療機械もよく売りつけられるらしい。こちらの話も僕も騙されたことがあるので興味があるがGWの海外旅行とは関係がないので今回はこれ以上触れない。

盗難事故に対するカード会社の対応は?

 盗難事件に巻き込まれて1時間半経ってからマスターカード(銀行カード付)、VISAカード(ANAカード付)、JCBカード(JALカード付)に電話連絡したが緊急窓口でカードの使用停止をお願いした。いずれも早い対応ができたが、事故の特定はカード会社に多少の対応の違いはあった。カードの再発行には10日以内から1カ月以上までカード会社によって違いがあった。銀行カード付や航空会社カード付にも再発行に時間のかかる会社もあった。


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