BBC News

2017年4月26日

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ドナルド・トランプ米大統領は、選挙中から主要公約に掲げてきたメキシコ国境の壁建設について、予算計上をいったん見送ることにした模様だ。28日が成立期限の政府歳出法案に盛り込む方針だったが、側近のケリーアン・コンウェイ氏が25日、米フォックスニュースに対して、壁の建設費は今週中に計上する必要はないと述べた。トランプ氏は選挙中、国境の壁の建設費用はメキシコ政府が負担すると繰り返していた。

トランプ大統領は、今年度末までの連邦政府歳出法案に、国境の壁の建設費15億ドル(約1650億円)を計上するよう提案していた。

しかし、メキシコ政府に負担させると大統領が公約していた費用を予算案に盛り込むなら、法案成立を阻止すると民主党はかねてから主張していた。また共和党内でも、想定される総工費2160億ドルという金額に反発の声が上がっていた(大統領は120億ドルと想定額を示していた)。

またメキシコ国境沿いでヒスパニック系有権者の多い地域選出の共和党議員たちも、壁建設を強く批判してきた。

このため、もし歳出法案が今週中に成立しなければ、連邦政府は予算不足となり機能停止状態に陥る恐れがあった。ホワイトハウスが譲歩すれば、政府閉鎖の危機は回避できる見通しとなる。

しかしトランプ大統領はツイッターで、自分は壁について方針を変えたわけではなく、壁は必ず建てられると強調した。

さらに24日夜には保守系メディア関係者との内々の懇談で、年内の別の時期に建設費を計上するかもしれないと話したという。

コンウェイ氏はフォックス・ニュースに対して、建設費は今週中に計上する必要はないが、壁の建設が「重要な優先事項であることに変わりはない」と述べた。

ホワイトハウスのショーン・スパイサー大統領報道官も、「優先事項が変わったわけではない。壁は造られる」と述べた。壁の目的は人身売買を防ぎ、ギャングや麻薬や不法移民の流入を阻止することだと、報道官は強調した。


<解説> トランプ氏、壁に直面――ジョン・ソープルBBC北米編集長

それはトランプ氏の大統領選の目玉商品だった。国境には壁を造ると。そして行く先々の支援者集会で、トランプ氏は毎回こう叫んだ。

「誰が払うんだ?」

集まった人たちは決まって、「メキシコ!」と大声で返した。

ただしメキシコ政府は、自分たちは絶対に払うつもりはないと態度を明確にしていた。

そのためホワイトハウスに引っ越したトランプ大統領は、「当初は」米国の納税者が建設費を払う必要があるかもしれないと言った。ただし、その費用はやがてメキシコから取り返すのだと。

しかし就任100日目を目前にした大統領は、国境のそれとは別の、分厚い壁に直面している。民主党の上院議員たちという壁だ。

大統領が提案する予算案の成立を、民主党議員たちは阻止することができる。そのため、ホワイトハウスの行政管理予算局長は壁の建設費を削った形で、予算案を書き直さなくてはならない。

大統領は25日朝、こうツイートした。「偽メディアは、僕がについて変節したと言うが、信じちゃだめだ。必ず建てられるし、麻薬や人身売買その他を阻止するのに役立つ」。

将来的にいずれかの時点では、確かに壁は建つのかもしれない。しかし選挙戦と実際に国を統治することがいかに別物か、今回のことはまざまざと示した。

ホワイトハウスのラインス・プリーバス首席補佐官は、「壁の建設費について(トランプ氏に)譲歩する用意があることは、民主党にとって意外な展開だった」と話した。


(英語記事 Trump backs down on border wall funding

提供元:http://www.bbc.com/japanese/39715168

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