世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年5月10日

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 大西洋評議会の欧州のウクライナ構想責任者であるアドリアン・カラトニツキーが、4月3日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙に、ロシアに友好的なトランプ政権との見方は時代遅れで、現実が変化を強いたとの論説を寄せています。その論旨は、次の通りです。

(iStock)

 3月31日、ロシアの報道官は、露米関係は「最低である」と述べた。2カ月前プーチンはトランプ当選を喜んでいたが、状況は変わった。トランプはプーチンを賞讃し、NATOを時代遅れと呼び、米国がクリミア併合を認めるかもしれないと示唆していた。しかし、トランプ陣営のロシア・コネクションへの捜査が続く中、トランプ政権は米露関係を冷めたタカ派的姿勢で置き換えてきた。

 ロシアのメディアは、プーチン政権は最早、トランプ政権との協力的関係を期待していないと述べ、米露関係改善については「幻想の終わり」を示唆した。メドヴェージェフ首相は、西側の制裁は無期限に続くと思うべしと述べた。

 変化は言葉だけのものではない。プーチンは東部ウクライナでの武力行使を強化し、2月初めから、ミサイルや弾薬がドンバスの街に落とされた。モスクワはINF条約に違反する新しい巡航ミサイルを配備した。黒海の米艦隊にロシアの戦闘機が付きまとった。

 共和党タカ派、ロシアの選挙干渉に腹を立てた民主党員、国家安全保障と情報の関係者、ヨーロッパの指導者からなる連合が、トランプのロシア接近に抵抗した。トランプはロシアのハッキングを、選挙結果を変えなかったとしつつも、1月には認めざるを得なかった。

 プーチンの評判が悪すぎ、その結果、まじめな対ロシア・タカ派が重要ポストについている。フリンの後任には、マクマスターが国家安全保障補佐官になり、プーチンに批判的なフィオナ・ヒルがロシア担当になりそうである。副大統領と国防長官は就任後、ロシアの行動を批判し、ティラーソン国務長官、ニッキー・ヘイリー国連大使はウクライナ支援を明確にした。

 ウクライナ大統領のポロシェンコは、トランプから直接会談で支援の保証を得たとされている。クリミア併合と東部ウクライナ占領についての制裁は再確認された。トランプは米国の防衛費を増やすとともに、NATO諸国の防衛費増額を求めている。ロシアがこれを歓迎することはない。

 トランプがプーチンと取引をするとの考えはなくなってはいない。しかし、今のところ、トランプ政権は、メディア、議会調査等のコンセンサスに影響され、初期のモスクワを潜在的同盟者とする見解は否定されている。

 米国の捜査・調査が最重要である。ロシアのサイバー攻撃はすべて調査され、トランプの選挙陣営とロシアの接触は調査されるべきである。しかし同時に、選挙に介入し利益を得ようとするロシアの努力はみじめに失敗したことを理解することも重要である。米国の制度は機能している。プーチンの介入は米国のタカ派を目覚めさせただけのようである。

出 典:Adrian Karatnycky ‘How Trump Became a Russia Skeptic’(Wall Street Journal, April 3, 2017)
https://www.wsj.com/articles/how-trump-became-a-russia-skeptic-1491261744

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