東大教授 浜野保樹のメディア対談録

2010年6月28日

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浜野保樹 (はまの・やすき)

東京大学大学院新領域創成科学研究科教授

1951年生まれ。工学博士。コンテンツ産業や制作に関する研究開発に従事する。主な著書に『大系 黒澤明』(講談社)『偽りの民主主義』(角川書店)『表現のビジネス』(東京大学出版会)などがある。(財)黒澤明文化振興財団理事、文化庁メディア芸術祭運営委員ほか。

前回の内容 矢島美容室、行けます
浜野
 中島さんといると元気になって、肯定的な気分になる。人格形成に決定的影響を与えたのは何ですか。

編集部 ご両親も明るい方? 

どうすれば怒られないかばかり考えていた

中島 全然そんなことないですね。静かです。結構母親は怖い、厳しい。めっちゃ叱られてました。子供時分は。

 で、弟がいるんですけど、この弟が兄から見ても可愛い。なのに母親に怒られると反発してね。それで余計親を怒らせるんですよ。僕は怒られるのがなにしろ嫌やから、間に入って、弟にまずいところを抑えろと。こういうふうにやっとったら怒られへんと。どうやったら怒られないですむかと、それだけ毎日、毎日考えて暮らしていたというのが僕の幼少時ですね。

 これは応用が利くんです。学校に行っても、先生にこうすれば怒られないってわかる。難しい人が来たら、こうしよう、そうすれば怒られないってすぐ分かる。「怒られないセンサー」を磨き上げてきて、それで髪の毛が抜けてしまったと。

 怒られるのがものすごく嫌なんですよね。怒られないように、怒られないように、と。ホラ、武勇伝の類というと、どれだけ自分を貫き通したかでしょう。僕はその、真逆。ただ、ここへきて、さすがにおっさんになってくると、広告においては筋が通ってないことはなんだかんだ理屈をこねて筋を通そうってしている自分がいますけどね。

 いろいろなところで遭ってきた「痛い目」というのがあって、その原因が、常に自分自身に対する過信なんですね。何でこんなに痛い目に遭うのか、ああ、うぬぼれてたと。天狗になっていたと。だから自分に言い聞かせるのは、とにかくうぬぼれては駄目。おまえは全然「ダメダメ」なんだって。

 そうしておけば、良いことと悪いこととありまして。良いことっていうのは、どんな人でも相手のエラいところがすぐわかる。そして、張り合おうなんて思わない。悪いところは、「でも中島さん、あなた自身は本当はどうなの。本当は何者なの。自分自身の主張ってないの」って言われたとき。それが僕を追い込むんですよ。「主張、主張。うーん、ないです!!」みたいな感じ。

 でもね、この生き方だと、自分が思ってもいなかった面を、他人が引き出してくれる。少なくとも僕は今までそれでやってきましたねえ。これ、ひそかにホージ理論と呼んでいてね。

編集部 ナニ理論ですか? 

そして編み出した自己発見の法則とは

中島 法事理論、です。

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