ベストセラーで読むアメリカ

2017年5月8日

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■今回の一冊■
TOOLS OF TITANS
筆者Tim Ferris
出版社Houghton Mifflin Harcourt

『TOOLS OF TITANS』
(Tim Ferris , Houghton Mifflin Harcourt)

 いわゆる自己啓発というジャンルの本だ。アメリカではポジティブ思考を奨励する本がよく売れる。セミナーなども盛況で自己啓発はひとつの産業として成り立っている。まさに、ポジティブ思考中毒といってもいいのではないかとさえ感じる。本書もよく売れている。ニューヨーク・タイムズ紙の月間ベストセラーランキング(ビジネス書部門)では、今年1月にトップの座を獲得した。4月も5位につけている。

 筆者のTim Ferris(ティム・フェリス)はアメリカではかなり有名らしい。自分で起業したことがあり、ベンチャー企業に投資するエンジェル投資家でもある。日本でも『「週4時間」だけ働く。』という邦題で著書が翻訳されている。正直、評者はこの人物のことを知らなかった。いわゆる自己啓発書に関心を持ったことがないし読んだこともないからだ。

 筆者のフェリスは各界の著名人にインタビューしてPodcastで配信するビジネスも手掛け人気を呼んでいるそうだ。そうした100人を超える著名人たちへのインタビューのエッセンスを一冊の本にまとめたのが本書だ。自己啓発書に抵抗感を持っていた評者も、本書の豊富な内容には大変満足している。意外に興味深い話が多い。それもそのはずだ。さまざまな分野で成功を収めた超一流の人々の意味深い言葉に触れられる。

一人のインタビューからさらに世界が広がる

 本書のタイトルを直訳すると「巨匠たちの道具」となる。思い切って意訳すると「成功する人たちの習慣」だろうか。むしろ、サブタイトルの方が内容をよく表している。The Tactics, Routines, and Habits of Billionaires, Icons, and World-Class Performers (大富豪やカリスマ、世界的なパフォーマーたちの戦略やルーティーン、習慣)という副題だけをみても興味をそそられる。

 朝起きたら何をするか? 好きな本はなにか? 若いころの自分にアドバイスするとしたら何を言うか? これまで受けた最悪のアドバイスは? など、読者が知りたいことを聞き出す質問がされている。自分も同じルーティーンをやってみようとか、お勧めの本を読んでみよう、という気になる。

 さらに、そうした一流の人たちも、先人たちの言葉や功績に言及する。一粒で二度おいしいではないが、一人のインタビューからさらに世界が広がる。ただ、アメリカでは有名なのであろうコメディアンや文化人が多く登場し、日本人の評者にとっては聞いたこともない人物が多いのも事実だ。通読するより、気になる人物のパートを好きに選んでつまみ食いするのに適している本だ。

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