2024年4月20日(土)

ベストセラーで読むアメリカ

2017年5月8日

 シリコンバレーの伝説的なソフトウエア開発者でベンチャー投資家としても有名なマーク・アンドリーセンの次の言葉には励まされる。

 Get inside the heads of the people who made things in the past and what they were actually like, and then realize that they’re not that different from you. At the time they got started, they were kind of just like you . . . so there’s nothing stopping any of the rest of us from doing the same thing.

 「過去にモノをつくりあげた人たちの頭の中をのぞいて、実際どれほどのものかみれば、自分たちとそれほど違わないことが分かる。彼らが始めたときは、ちょうどあなたと同じようなものだったはずだ。だから、ぼくらが同じことをするのを止めるものは何もないんだ」

 偉大な先人たちをみておじけつくことなく、挑戦すればだれでも成功できるチャンスがあるのだと勇気づけてくれる。本書では、インタビューでの発言だけでなく、アンドリーセンによるツイッターでのつぶやきもいくつか紹介している。これが、またいい。

 “To do original work: It’s not necessary to know something nobody else knows. It is necessary to believe something few other people believe.”

 「オリジナルな仕事をするというのはどういうことか。他のだれもが知らないことを必ずしも知っている必要はない。ごく限られた人しか信じない何かを信じることが求められる」

 ハイテク業界のカリスマであるアンドリーセンは次のように、アメリカの有名なファンドマネージャーの言葉をツイッターで引用していることも教えられ、とても興味深い。

 “‘Far more money has been lost by investors trying to anticipate corrections, than has been lost in corrections themselves.’—Peter Lynch”

 「相場の下落に備えようとして投資家がこれまで失ってきた金額の方が、相場下落そのもので失われた金額よりも遥かに大きい――ピーター・リンチ」

彼らの習慣、独創的なコメント、成功の秘訣……

 シリコンバレー関連では、ツイッターのジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)も登場する。これまでしてきた投資の中で最も価値あるものは何か、という問いに対する答えがふるっている。

 Taking the time to walk to work every day(5 miles, 1 hour 15 minutes)

 「職場まで毎日、歩いていることだ(約8キロメートル、1時間15分)」

 通勤ラッシュに苦しみながら一時間以上かけて会社に通う人が多い日本のサラリーマンには真似できない習慣だ。リンクトインの創業者として有名なリード・ホフマンも出てくる。子どものころから「孫子」などを読み戦略的な思考力を養っていたという。論理哲学のヴィトゲンシュタインを勉強するようすすめるあたり、只者ではない。


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