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2017年5月1日

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ネパール山岳協会は30日、著名なスイス人登山家ウーリー・ステック氏(40)がエベレストへの登頂準備中に死亡したと明らかにした。遺体はエベレストの南西にある尾根がつながるヌプツェ山の下で発見され、死因は滑落だとみられる。

スティック氏は、エベレストの無酸素登頂を新たなルートで達成するため体を慣らしていた。

「スイス・マシン」のあだ名を持つステック氏は急速な登攀(とうはん)で知られ、受賞歴も多い。

ネパール山岳協会のアン・ツェリン会長はAFP通信に対し、「彼はヌプツェの壁で事故に遭い、死亡した。滑落したようだ」と述べた。

ステック氏は、世界で4番目に高いローツェに登った後、成功率の低いウェスト・リッジのルートを使ってエベレストを登頂する準備をしていた。

登山のパートナーが深刻な凍傷になったことから、ステック氏は単独で行動していたとみられる。

先月26日、ステック氏は自身のフェスブック・ページで「ベースキャンプから7000メートルまで上がってまた戻ってきた、急ぎ足の1日だった」と書いていた。同氏は、高地で体を慣らすには活発に動くのが最も効果的だと考えていた。

ステック氏は2012年にエベレストの無酸素登頂に成功。2015年には、62日間でアルプス山脈の標高4000メートル以上の82山全ての登頂に成功した。

ヒマラヤ山脈に出発する前の映像でステック氏は、「これまでで一番体力がある」と語り、身体的にも心理的にも準備万端だと語っていた。

エベレストの北側にあるホーンバイン・クーロワールを通ってローツェとエベレストに登頂するという大胆な計画についてステック氏は、「事故に遭ったり、あるいは命を失ったりすれば、もちろん成功ではないが、ほかのすべてのことはすでに成功している」と話した。

英国の登山家サー・クリス・ボニントンはステック氏死亡の報を受け、「史上最も偉大な登山家の一人だった」と哀悼の意を示した。

ボニントン氏はBBCに対して、ステック氏の登攀が急速だったから危険だったとは限らないと語った。

「命を落とすのは大方の場合、岩壁があったり雪崩の恐れがあるなど、客観的な危険がある時だ」

「危険にさらされる時間が長ければ長いほど、(岩や雪崩に)当たってしまう可能性も高まる。一方で、非常に速く移動していれば危険にさらされる時間はずっと短くなる。しかし、彼は間違いなく極限状態で登山していたし、そういう最高レベルの登山家の死亡率は非常に高い。ヒマラヤでは特にそうだ」

別の英国人登山家、ケントン・クール氏はステック氏が「山だけでなくあらゆる局面で、さまざまな可能性を示してくれた」として、「本当に勇気を与えてくれた」と語った。

英国登山評議会は、ステック氏を「伝説的な登山家で、あらゆる面で素晴らしい人だった」と述べ、死を悼んだ。

(英語記事 Ueli Steck: Everest preparation claims 'Swiss Machine' climber

提供元:http://www.bbc.com/japanese/39768220

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