WEDGE REPORT

2017年5月4日

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 米空母艦隊の展開など北朝鮮情勢の緊張が続く中、トランプ大統領は軍事行動も辞さないという強硬姿勢を見せる一方で、金正恩朝鮮労働党委員長との対話の可能性を示唆するなど相手を翻弄する”トランプ流外交術”をいかんなく発揮している。硬軟取り混ぜたこうした発言は一部に、トランプ氏が北朝鮮に秘密交渉を仕掛ける布石ではないかとの観測を呼んでいる。

(iStock)

予見不能性に困惑

 トランプ氏の北朝鮮に関する発言は6回目の核実験の動きが浮上したころから急増した。4月24日には国連安保理メンバーの国連大使らをホワイトハウスに招いて北朝鮮に強力な追加制裁を科すよう求めたと思うと、核施設などへの先制攻撃についても「そのうち分かる」と軍事力行使を否定しなかった。

 さらに同氏は月末になって北朝鮮と「大きな紛争」が起きる事態もありうると警告し、「外交的な解決を望むが、非常に難しい」と発言。ホワイトハウスの側近らもあらゆる選択肢を検討中と述べるなど軍事的緊張の激化に拍車が掛かった。最近の弾道ミサイル発射実験に関しても「中国の望みをないがいしろにした」と金委員長への批判を強めた。

 しかしトランプ氏はその後のブルームバーグ・ニュースとのインタビューで「適切な状況の下で金委員長と会えれば光栄に思う」と条件付きながら金氏との直接会談の可能性に言及。直前のCBSテレビでも「彼は相当頭の切れるヤツだ。非常に若いのに権力を掌握することができたからだ」などと金委員長を持ち上げて見せた。

 だが、この発言の直後のFOXニュースとのインタビューでは「彼は扇動的で恐ろしい。世界の脅威だ」と非難し、上げたり下げたりの発言を繰り返した。トランプ氏のこうした発言の真意は不明だが、北朝鮮側がこのメッセージの解釈をめぐって困惑しているのは間違いない。

 トランプ氏は元々、金委員長との直接会談を排除していない。選挙期間中から「話すことのどこが悪いのか。何の問題もない。ハンバーガーでも食いながら話せば良い」などと述べており、会談自体については一貫性がないわけではない。

 トランプ・ウオッチャーの1人は大統領の一連の発言について「硬軟のタマを投げて、追い詰められている北朝鮮を困惑、混乱させることが目的。北にとって見れば、シリアを攻撃したように何をやるか分からない“予見不能”な人物の発言だけに余計不気味だ」と指摘する。

 トランプ氏の次の狙いはズバリ、北朝鮮との秘密交渉だろう。軍事的な手段は勇ましいだけで、危険が大きすぎる。仮に米側が巡航ミサイルや空爆などで先制攻撃をしたとしても、核関連施設や弾道ミサイル発射基地、指揮管制センターなどすべての施設を破壊するのは不可能。ましてや地下深くにある施設が多い。金委員長個人の“除去”もうまくいく保証はない。不確定要素だらけなのだ。

 その結果、報復能力が相当残り、ソウルは無論のこと、それこそ北朝鮮が恫喝するように東京が火の海になりかねない。報復攻撃を招かなくても、限定的な先制攻撃は核開発を数年遅らせる効果しかあるまい。この点は国防総省が冷徹に分析しており、トランプ氏も日韓の同盟国の意向を無視して軍事行動には踏み切れないだろう。

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