BBC News

2017年5月9日

»著者プロフィール

米ホワイトハウスは8日、ロシア政府との接触について事実と異なる報告をしていたと2月に解任されたマイケル・フリン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)について、当選間もないドナルド・トランプ氏に対して当時のバラク・オバマ大統領が、フリン氏は採用しない方がいいと警告していたことを認めた。同日に前司法長官代行は上院司法委員会に出席し、フリン氏がロシアから脅迫され得る立場にあるとホワイトハウスに伝えたと証言した。

ショーン・スパイサー大統領報道官は定例会見で、「オバマ大統領は自分が決してフリン将軍のファンではないと明らかにした。それは本当だ」と認めた。しかし報道官はその上で、「フリン将軍はオバマ大統領のもとで働き、オバマ大統領の欠点について声高に批判していたのだから」オバマ大統領がフリン氏を批判するのは無理もないことだと述べ、「ISIS(過激派勢力「イスラム国」の略称)など米国に向かってくる様々な脅威に対して、オバマ大統領に戦略が欠けている」とフリン氏が声高に批判したことが、オバマ氏による批判につながったと説明した。

オバマ政権関係者によると、オバマ大統領はトランプ氏の当選から48時間たたない11月10日の時点で、フリン氏について警告したという。オバマ政権関係者は米NBCニュースに対して、これはフリン氏がロシアのセルゲイ・キスリャク駐米大使と接触しているという懸念が浮上する前のことだと話した。

退役陸軍中将のフリン氏は、トランプ政権発足前に民間人の立場でキスリャク米大使と会談し、対ロ制裁の解除を協議したが、この事実をマイク・ペンス副大統領など政権幹部に正確に伝えていなかったことから、事実上解任された

オバマ政権は2014年、国防情報局(DIA)長官の職からフリン氏を解任。組織管理手法や気質の問題を理由にしていた。オバマ氏は、フリン氏がこれほどの高い地位にふさわしくないと考えていたとされている。

しかしスパイサー報道官はオバマ氏の疑念に異議を唱えた。「もしオバマ氏は本当にフリン将軍について懸念していたなら、どうしてフリン将軍の機密情報閲覧権限を取り上げなかったのか。数カ月前に更新したばかりだったのに。さらに、どうしてオバマ政権はフリンのロシア行きを認めたのか。出演料を受け取る講演会のためのロシア行きだと分かっていたのに」と、報道官は記者会見で述べた。

この間、上院司法委員会犯罪・テロ小委員会で同日、サリー・イェーツ前司法長官代行が初めて、フリン氏とキスリャク大使の接触について公の場で証言した。イェーツ氏は今年1月末、トランプ大統領による移民入国制限大統領令に異を唱えたため解任されている。

イェーツ氏は司法委に対して、1月26日の時点でホワイトハウスのドン・マギャン法律顧問と直接会い、フリン氏の行動について警告したと証言。ロシア大使とフリン氏の接触に関する政府関係者の発言が「事実と異なる内容」になっていると、指摘したという。

フリン氏はペンス副大統領に「嘘をつき」、ロシアはそれを承知しているのだと、自分はマギャン法律顧問に伝えた――。イェーツ氏はそう証言した。

「問題のある状況だった。国家安全保障問題担当の大統領補佐官が要するに、ロシアから脅迫され得る状況だった」とイェーツ氏は述べた。

前司法長官代行はさらに、「言わずもがなのことを敢えて言うと、国家安全保障担当の補佐官がロシアにいいように利用されるのは困るわけです」と強調した。

フリン氏とロシア大使の接触について自分の情報源が何かはこの場で明かすことはできないと、イェーツ氏は述べ、米情報機関が傍受したリン氏とロシア大使の通信内容にもとづく発言かどうかは確認しなかった。

フリン氏とロシアの関係をめぐっては、ロシア政府がトランプ氏に有利になるよう大統領選に介入したという疑惑を調べる一環として、連邦捜査局(FBI)が捜査するほか、上下両院の情報委員会が事実関係を調べている。

トランプ大統領は同日、イェーツ氏がマスコミに情報を漏洩したと批判するかのようなツイートを投稿。さらに、イェーツ氏の議会証言が終わると、「ロシア・トランプ癒着話はまったくのでっちあげだ。納税者が払ってるこのジェスチャーゲームはいったいいつ終わるんだ?」とツイートした


マイケル・フリン氏にいつ何があったのか

  • 2014年4月―オバマ政権下で国防情報長官から解任される
  • 2015年12月―講演料を受け取りモスクワの夕食会に出席
  • 2016年2月―トランプ陣営に参加
  • 同年11月10日―オバマ氏、トランプ氏にフリン氏は採用しないよう警告
  • 同年11月18日―フリン氏、大統領補佐官(国家安全保障問題担当)への就任要請に応じる
  • 同年12月―ロシア大使と会談
  • 2017年1月26~27日―司法長官代行がホワイトハウスに、フリン氏がロシア大使に接触していたと警告
  • 同年2月8日―ロシア大使と制裁解除を協議したことはないと発言
  • 同年2月13日―大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を辞任

<解説> アンソニー・ザーチャー、BBCニュース(ワシントン)

昨年11月の大統領当選からわずか2日後に、トランプ氏がホワイトハウスでオバマ氏と隣り合って座った時、その場にいる誰もがニコニコしていた。しかし今になって明らかになった内容によると、オバマ氏は実はこの時、フリン氏に近寄るなと次期大統領に警告していたのだという。そして大統領が時間を割いて警告したにも関わらず、次期大統領はその忠告を無視したのだと。

後知恵で振り返れば、トランプ氏は前任者のアドバイスを聞くべきだった。この後に浮上したロシア大使との接触をめぐるスキャンダルのせいで、フリン氏の大統領補佐官としての任期はあっという間に終わってしまったので。

オバマ氏は警告していたのだと、11月のことが今になって明らかになったのは、決して偶然ではない。イェーツ前司法長官代行が上院で、フリン氏とロシアのつながりについて自分もトランプ政権に警告しようとしたのだがと発言した、その証言とタイミングを合わせているのは明らかだ。

トランプ氏はイェーツ氏の議会証言に先立ち、自分が司法長官代行として解任したイェーツ氏をツイッターで攻撃した。これを受けて、オバマ氏の周辺が(匿名で)イェーツ氏の応援に乗り出したように見える。

前政権と現政権の対立は、ことほど左様に今でも続いている。トランプ氏の側近たちと米情報機関との緊張関係も、変わらず続いている。

これは大勝負だ。そしてどうやら、誰も一歩も譲らない構えのようだ。


(英語記事 Obama warned Trump about hiring Michael Flynn

提供元:http://www.bbc.com/japanese/39853217

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る